電子内視鏡の耐用年数と寿命

診断用機器

はじめに

「電子内視鏡の耐用年数はどれくらいだろう?」
という場合、
「電子内視鏡は何年くらい使えるのだろう?」
という文言と同じような意味にとられる方がいるかもしれません。
しかし、実は、正確にみた場合、両者の文言の意味は異なるものなのです。
どういうことなのでしょうか?

電子内視鏡の耐用年数

「耐用年数」という言葉の意味は、「どれくらい使えるのか」とか「どれくらい持つのか」ということではありません。
どういうことかといえば、「耐用年数」とは税務上で用いる言葉なのです。

電子内視鏡などの医療機器は、税務上、固定資産(通常1年以上の長期間にわたって使用する目的で保有する資産)に分類されます。
このような固定資産を購入した場合、一般的には定められた期間にその費用を分配して、それぞれの期に一定の額を経費として計上(償却)していくことになります。
これは「減価償却」と呼ばれる制度ですが、この減価償却の基準となる年数のことを「耐用年数」というのです。

したがって、「電子内視鏡の耐用年数」といえば、これは「電子内視鏡の物理的耐久性」や「電子内視鏡の寿命」を表す言葉ではなく、「電子内視鏡の償却期間」を意味することになります。
なお、法律の定める電子内視鏡の耐用年数は手術用のもので5年、胃や大腸、小腸、気管支などに使用する通常のもので6年となっています。

電子内視鏡の寿命

では、電子内視鏡の物理的な寿命はどれくらいなのでしょうか?
これを知りたい場合には「耐用期間」という概念が参考になります。

平成16年度の厚生労働科学研究「医療機器の耐用期間設定評価手法に関する研究」において示された「医療機器の耐用期間設定評価手法ガイドライン」では、「耐用期間」について「適正な維持管理のもとで適切に使用される場合、その医療機器が設計仕様書に記された通りの機能や性能を維持することができる標準的な使用期限」といった内容で説明されています。
簡単にいえば、耐用期間とはメンテンナンスを行いながら適切に使用している場合、安全にその医療機器を使うことができる期間ということです。

また、同ガイドラインにおいては、その耐用期間について「その医療機器を製造販売する業者が、使用者に対して添付文書で医療機器の安全使用のための情報として提供しなければならない」ことも記載されています。

つまり、医療機器の耐用期間(使用期限)は、その機器を製造販売するメーカーが設定し、添付文書に記載することになっているということです。
ちなみに、電子内視鏡の場合は耐用期間を6年としているメーカーが多いようです。

最後に

以上で見てきたように、電子内視鏡の耐用年数は機器の寿命を表す言葉ではなく、減価償却の期間を意味する言葉になります。
ですから、電子内視鏡が何年くらい使えるかを知りたいときには、耐用年数を調べるのではなく、機器に添付されている文書に記載された耐用期間(使用期限)を調べることになります。

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