心電図検査とは ~電気軸をもとに測定する心臓の状態・心電図波形と加算平均心電図~

診断用機器

心臓の動きに伴って生ずる電気変化を測定することで、正常に機能しているか?なにか異常はないか?を判別する心電図検査。それはいったいどういう仕組みで行われているものなのでしょうか? 今回は、心電図測定機器を使った検査の仕組みについて見ていきましょう。

心電図検査の原理

心臓はこの三次元世界に存在する物体であることは言うまでもありません。このことは、前後・左右・上下といった3つの軸からなる運動する方向が存在することになります。この心臓が動く方向の基準となる3軸を定めれば、その動きを3次元空間的に観測できるというわけです。

動物は運動によって微弱な電気を発生させます。動物の持つ器官のひとつである心臓もまた、拡張・収縮を行う筋肉の動きに伴って電気の変化が生じます。

3次元的に行われる心臓の動きと共に生ずる電気を測定することにより、活動中の心臓を直接見なくともその立体的な動きを捉えることが可能となるのです。

心臓電気軸

3次元的に変化する心臓の挙動を、電気の変化に置き換えて観測するのが心電図検査のおおまかな仕組みであることは前項で述べた通りです。では、測定された電気変化からどのようにして、立体的な心臓の動きをとらえることができるのでしょうか?そのあたりを見てみましょう。

心臓は3次元的に動くことは先に解説しましたが、その動きに伴って電気変化も生じますので、電気的にも3次元のモデルを想定することが可能です。これは心起電力ベクトルという概念で表すことができます。

心電図検査を受けたことのある方であればご存じだと思いますが、まず手や足に電極をつけます。この電極に仕込まれたセンサーから、心臓の動きにともない発生した微弱な電位の変化を測定し、電気的な3次元モデルの基準となる座標を決めているのです。

この心臓の動きに伴う、電気により観測できる心起電力ベクトルの方向を「心臓電気軸」といいます。心臓の挙動を表すこの「心臓電気軸」の状態を記録したものが、検査結果として得られる波形です。

心電図の波形

心電図検査を受けてみてまず目につくのが、測定器から一定の速度でゆっくり送り出されるグラフ用紙とそこに刻々と記されていく波形です。それらについて、どのようなものなのか見ていきましょう。

装置から送り出されていくあのグラフ用紙は「記録紙」というもので、電位(=電圧の変化)を縦軸に、時間を横軸として記録していきます。つまり、前項で述べた心臓の働きを表す電気変化が、一定の時間でどのように変化しているのかを表すわけです。

検査によって「記録紙」に記されていく波はP波・QRS波・T波などから構成され、それぞれが波の形に特徴があり、おのおの心臓内の部位や働きを示しています。

P波は心房の収縮、QRS波は心室の収縮を、T波は心室の拡張を表しています。
これら波形の形から今現在の心臓の状態を知ることができます。

加算平均心電図

心電図検査には、波形そのものから判別する検査法以外に、波形の加算と平均を繰り返して記録する加算平均心電図という検査法もあります。この方式であれば、通常の心電図では発見できない小さな信号を測定することができ、重症心室性不整脈の発生予測に有効な検査とされています。

まとめ

以上、心電図検査はどのような仕組みで行われるものなのか、簡単に説明させて頂きました。心臓は全身に血液を送り出す大切な器官。その正常な機能を維持していくためにも、検査は重要ですね。

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