内視鏡(ファイバースコープ)の整備・点検について
内視鏡(ファイバースコープ)は、体内の病変を、いち早く見つけることができる機器として様々な使用方法で活用されています。しかし、体内に直接入れる機器であることから、その取扱いは繊細さが求められています。今回は、内視鏡(ファイバースコープ)の整備・点検についてご紹介しましょう。
整備点検の必要性
内視鏡は大きく分けて、内科領域で使用される軟性鏡と、外科領域で使用される硬性鏡の2種類に大別されます。
内視鏡治療には不可欠な電気手術器、アルゴンプラズマ凝固装置、使用後のビデオスコープの再生処理に導入されている洗浄消毒装置など、内視鏡を取り巻く環境は機器が清潔でかつ正常に機能すること前提の環境でなりたっています。
日常点検
始業点検、使用前、使用中及び使用後に取扱い説明書を参照の上、これらを尊守して、点検をおこなわなければいけません。
1) 始業点検
システムカート・システムプロセッサ・光源装置・画像モニタ・吸引装置・画像記録装置(ファイリングシステム)・CO2送気装置・送水装置に外装に破損、変形、損傷がないかを確認します。次に、プラグがコンセントに接続されていることを確認し、メイン電源を入れます。
電源コード、各ケーブルやコネクタ類の被覆に破損や亀裂・緩みやねじれがないことを確認し、吸気口・排気口の閉塞がないことを確認します。モニタ上に日付・時間などが表示されているかを確認し、内視鏡との接続に緩みがないかを確認します。
その他、各装置に異常はないかを確認し、電気手術器・内視鏡洗浄消毒装置を手順通りに確認します。
2) 使用前における外装点検
〇外装に破損やへこみ、曲がりがないこと、レンズに傷・欠けがないことを確認する。
〇ケーブルにねじれや損傷がないことを確認する。
〇吸引ボタン、送気・送水ボタン、鉗子栓の損傷、汚染がないことを確認する。
〇吸引、送気・送水口金の削れなどがないことを確認し、各種ボタンを取り付ける。
〇電気接点部分のコネクタ状態を確認する(ピンの折れや薬液付着、錆などの異常)。
〇軟性部全体が十分に弯曲すること、弯曲しにくい部分がないことを確認する。
〇上下・左右レバーを回しスムーズに動作すること、十分な弯曲角度が得られることを確認する。
〇上下・左右のアングルをかけたとき、アングルの固定をすることができるか確認する。
3) 使用中の確認(トラブルシューティング)
使用前に動作が確認された機器が安全で、正常な作動状況にあることを確認する。
4)使用後の確認
〇外装に破損や変形、損傷がないかを確認する。
〇送気・送水・吸引に異常がないか確認する。
〇スイッチ類に亀裂や傷、コネクタに損傷がないか確認する。
〇全ての機器において清掃をおこない、次回使用するときまで所定の場所にて保管・管理をおこなう。
〇血液・体液が飛散したときは、院内の規定に従い清掃をおこなう。
定期点検
日常点検と異なり、機器の性能が維持されているか定量的評価をおこない、機器の精度管理をおこなう必要があります。そのため、専門知識のある修理業者に委託し、点検報告書の作成をおこないます。
まとめ
内視鏡(ファイバースコープ)は、人の体内へ入れる機器となることから、念入りに整備と点検をおこなう必要性があります。現在、内視鏡検査に使用する機器を点検するための専用測定機器が少ないことから、専門的知識を有した臨床工学技士や専門知識のある修理業者へ点検は依頼しましょう。