CT装置の消毒措置について

生体現象測定記録・監視用機器

感染症予防対策として、医療機器の殺菌消毒は欠かすことのできない重要な措置と位置付けられます。X線を用いて体内の様子をグラフィック上に写し出すCT装置も例外ではありません。CT装置を構成する各部分についての消毒方法および注意点について、確認したいと思います。

CT装置の構造

CT装置は、構造的に3つの部分から構成されています。それは、トンネル型のガントリ、患者さんが横になるクレードル、それらを操作しデータの解析や画面表示を行うコンソール、の3つです。

CT検査は、ガントリのトンネル部分に患者さんを乗せたクレードルが入っていく形式で行われます。ガントリの外壁内部には、X線を照射する管球と患者さんの身体を透過したX線を検知する検出器が内蔵されています。それらは、検査時に患者さんが位置することになる中央のトンネル孔を挟んで、向かい合うように設置されています。

検査では、そのガントリ内のX線管球と検出器が1周辺り0.5秒以下の高速で回転しながら、X線照射と検知とを行います。加えてクレードルの前後スライドにより、X線回転照射の位置をすることが可能です。これらの動作から、立体的な方向からのX線撮影がなされ、取得したデータをコンソール部で解析して人体内部の画像が描写されることとなります。

装置各部の消毒方法

前項のようなCT装置の構造および動作を念頭に置きつつ、どのように消毒処置を行うべきか見ていきましょう。

ガントリ(トンネル部)の消毒清掃

ガントリ内部はX線管球および検出器とその他動力機構で構成されていますが、それらを覆うように、表層部は合成樹脂製のカバーで覆われています。消毒処置に当たっては、機器表面に消毒液を含んだ布で清拭し、その後乾いた布によるから拭きなどで乾燥させる、といった手順が主となります。

その際、消毒液がカバーの接合部から装置内部へ流入したり、ケーブルなどコネクタ部分に付着したりしないよう注意が必要です。そのような状態となると、部品の腐食や故障の原因となり、後に事故につながってしまうおそれがあります。

消毒に用いる薬液としては、消毒用アルコールが一般的でしょう。しかし高純度エタノールなどは、塗布する樹脂の材質によっては変性・変質を起こす可能性があります。そのためCT装置の取扱説明書の記載もしくはメーカーへの問い合わせに準じて使用消毒液を選択するべきと言えます。

クレードル(検査台)の消毒清掃

処置の手順や、消毒液の内部流入およびコネクタへの付着といった注意点、使用する消毒液については、ほぼガントリと同様です。

クレードルには、患者さんが横になるマットレスや、検査中の動作を抑止するバンドなど、合成樹脂以外の材質が用いられている箇所もあります。それらに用いる消毒液については、取扱説明書およびメーカー問い合わせを参照すると良いでしょう。

コンソール(操作部)の消毒清掃

電子機器部分にはドライクリーニングを使用します。それ以外のプラスチック部分やディスプレイ画面については、消毒用アルコールが使用可能かどうか、機種に応じて確認が必要となります。

消毒・清掃に当たっての注意点

消毒のみならず、清掃時においても注意すべきは、消毒液や洗浄剤の使用において、スプレー噴霧は避けるという点です。噴霧すると薬液が装置内部に侵入してしまい、腐食や故障の原因となるおそれがあります。

また、汚染発生時には、まず汚染物を除去し、希釈中性洗剤などによる清掃を経た後、消毒処置を行うこととなります。その際の汚染性掃除に使用する洗浄剤についても、装置材質によっては不具合を起こす原因となり得るため、取扱説明書もしくはメーカー問い合わせによる事前の確認が必要です。

まとめ

以上のように、CT装置の消毒について、CT装置を構成する3つの部分である、ガントリ・クレードル・コンソールそれぞれの消毒方法を見てまいりました。総じて気を付けるべき点としては、消毒箇所の材質に適した消毒液を用いること、薬剤が装置内部に入り込まないよう留意すること、以上2点が挙げられると言えるでしょう。

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