ファイバースコープにおける感染対策について
内視鏡の一つであるファイバースコープですが、医療現場において患者さんの検査と治療には欠かせない医療機器の一つとなっています。それが感染源になった場合、最悪の場合に患者さんの命に関わる危険性を伴います。今回は、ファイバースコープの感染対策について紹介していきます。
感染リスク
ファイバースコープは患者さんの検査の場合、普段は見えない体内の中に入り込みながら消化器系関連における異常を確認できる医療機器です。しかし、その内視鏡関連から感染する事態が起きない為にも、院内感染の原因の一つとして内部での検証を行い、どのようにして起きたのかを調査する必要があります。
洗浄と消毒をする
感染対策としてはルーチン消毒法、つまり「決まった手順」「お決まりの所作」で手洗いによる洗浄方法や機械的洗浄による方法です。医療現場において検査を終えたらすぐに機械を洗浄してから消毒し、次の検査に備えて万全な体制を整えます。
医療関係者の方や患者さんも互いに安心しながら検査ができ、感染リスクがいつも低い状態での対応が可能になります。
ルーチン消毒法とは?
「決まった手順」を繰り返す事です。水による手洗いで洗浄を行う方法や機械的洗浄法による規定の動作を習慣付ける事です。
具体的には、検査を終えたらすぐに洗浄し、丁寧に洗い終えたら消毒をしっかりと行う方法です。グルタールアルデヒド(2%)を使って消毒を行い、約10分以上浸しておきます。終了後は水道水で徹底して流してから乾燥するのが一般的で、その他の方法を挙げるならば、エチレンオキサイドガス及びホルマリンガスを伴う滅菌でも可能です。
内視鏡は、検査を終えたらすぐに水で流してきれいに掃除したら、徹底して消毒を行ってから乾燥し、次の検査に向けて万全な体制をもって用意する消毒法です。
実際はどのようにして行われているか
それでは、ファイバースコープの消毒法の具体的な手順について説明します。
①検査後にやるべき項目→患者さんからスコープを引き抜いたら、挿入部に対し2%グルタールアルデヒド綿で胃液・粘液・血液などの汚染付着物を拭き取り、洗剤で水洗い後にペーパータオルで拭き取ります。
②スコープ先端部にある鉗子出口や鉗子台は、スポンジなどで念入りに洗浄する。丁寧にブラッシングをしたスコー プチャンネルは、吸引操作により各容器内を水→洗剤→2%グルタールアルデヒド消毒→水→70%エ タ ノー ルの順で吸引を繰り返して最後に乾燥させます。
③送水ボトル接続チューブやコープケーブルは、アルコールガーゼや低水準消毒剤などで清拭消毒します。
④汚物が付着する吸引チューブの先端は、ガーゼでその部分を包み込むように消毒する事で、周囲への飛散予防となります。
⑤漏水テストを行った後は、いよいよスコープを全体的に水洗いします。その際にはスポンジを使いましょう。
⑥内視鏡外側の洗浄は、温水を流しながら中性洗剤や酵素洗剤などを使用し洗浄します。
⑦付属部品の洗浄は、送気・送水ボタンや吸引ボタンと鉗子栓を別々に外してから洗浄します。鉗子栓は汚れが落ちにくい状態なので、蓋を開けてブラシ洗浄ともみ洗いを念入りに行う。
⑧吸引・鉗子チャンネルのブラッシングは、感染防御の重要なポイントになります。「吸引・鉗子チャンネルの吸引ボタン取付座から吸引口金まで」と同じく「吸引ボタン取付座から鉗子出口まで」そして「鉗子挿入口から鉗子チャンネルの分岐部まで」の3箇所を掃除用のブラシで洗浄消毒を行うことが重要になります。
⑨酵素洗剤液への浸漬とすすぎ
⑩洗浄後の消毒とすすぎ
⑪保管は細菌が増加する恐れがある水分が、残らないように拭き取ります。ボタン類や鉗子栓などを装着せずにハンガーなどで吊るして保管します。
⑫洗浄機の洗浄も大事な感染対策です。洗浄とブラッシングを行った後は、洗浄機の洗浄を実施する事で、より対策が強化されます。さらに汚染した機器と洗浄後のものを明確に区別する事が予防につながります。
従事者は、ゴム手袋・キャップ・ゴーグル・ガウンやマスクを装備してから検査体制を整え、感染予防に備えます。
まとめ
ファイバースコープにおける感染対策について紹介しましたが、使い終わったら洗浄と消毒を行うだけでなく、検査の前には従事者における装備を徹底し、各種感染が起こらないよう細心の注意を払っています。