心電図におけるノイズの原因と除去
ME機器とは診断や監視に使用される医療機器の総称であり、心電図もその一部です。これらの機器の使用の際には、何らかの影響を受けてノイズが混入されるケースがあり、正確な診断を行う為にはノイズの除去が必要です。今回は、心電図におけるノイズの原因と除去について紹介しましょう。
心電図のノイズの要因
日常のあらゆる場所において電波の使用や電流が発生している事で、心電図のような医療機器にも多くの影響が判明しています。ノイズの発生は測定器への干渉を示しており、心電図の波形に変動が起こり正しい測定ができていない場合があるのです。
12誘導心電図の場合の確認事項
【1.心電計本体に受けるノイズ】
誘導コードの長さや位置、電源コードの断線がある場合や、電極部の汚れや錆、計測用コネクタの接触不良などが原因になります。
【2.外部から受けるノイズ】
交流雑音のノイズは、静電誘導の場合、電磁誘導の場合、電源配線部分から電流の洩れ、筋電図や電磁障害などがあります。
ホルター心電計の確認事項
1.発汗が原因で皮膚電位反射が起こり、基線動揺が起こります。
2.電極の圧迫などで電解質の作用があります。
3.誘導コードを踏んだり躓いたりする場合に起こります。
4.外部からの静電気や電波が影響します。
5.電極の適用が不十分な場合に、接地面の浮きや外れる事があります。
6.電極や誘導コードが適切でないと、接触不良やリーク電流の影響があります。
ノイズの除去と対策
雑音の影響で心電図が乱れる事となり、この測定は正確とは言えません。心電計にはノイズ除去の装置が内蔵されていますが、それだけでは不十分な場合があるので、ホルター心電計のノイズ除去の方法を紹介します。
【1.発汗の場合】
発汗活動で汗腺管に発生する電位変動によって、不規則な揺れや数10mVくらいまでの変動があります。この場合の対策には、皮膚の電気回路等における抵抗であるインピーダンスを小さくします。皮膚に対する前処理を実施する事で、基線の変動を抑える事ができます。
【2.電極の適用】
電極の接地部分に塗るゲル(電解質)と皮膚の界面で、正しい状態でない場合に不安定による電圧が起こります。対策は、電極面の押さえつけを分散できるスライドクリップ式電極の使用により軽減ができます。皮膚の前処理が必要となります。
【3.誘導コードの適用】
コードが電極を引っ張る事によりゲルの変形が起こり、皮膚界面の平衡状態が適正さを欠いて電圧が起こる場合があります。対策にスライドクリップ式電極の使用と、皮膚の前処理が有効です。
【4.外部からの静電気や電波】
肌着などの摩擦で静電気が起こる場合や、電気製品からのリーク電流や静電誘導が発生し、交流等が混入して、波形に乱れがあります。患者皮膚の清拭をする事と、併用機器を遠ざける事や3P-2P変換プラグを使わない事です。
【5.電極の浮きや外れの注意】
皮膚表面から皮脂などをアルコールで除去します。
【6.皮膚の接地面やリーク電流への注意点】
接点にゲルや汗など水分が大きな電圧変動を起こす場合があるので、皮膚の接地面を清潔に処理します。検査毎に誘導コードの点検を行い、断線や異常に対して新しい誘導コードを使用します。
まとめ
心電図のような精密な測定装置には、微弱な電流や電波などの影響を避ける為にも、ノイズ対策の必要性があるのです。正確な心電図を測定できれば、測定結果に信用度を高める事になり、予防や治療に大きく貢献できるのです。