ファイバースコープの保守点検 ~操作部から吸引兼鉗子口まで~

診断用機器

患者の身体を傷付けずに体内の様子を観察できるファイバースコープ。医療の現場で広く使われていますが、患者の身体の内部に直接触れる機器だからこそ、日頃の保守点検は注意して行いたいものです。今回はファイバースコープの吸引兼鉗子口などの保守点検方法をご紹介します。

各部の点検方法

ファイバースコープを使用する前に日常点検を欠かさず行いましょう。

使用者による保守点検事項
・湾曲部、先端部など患者の身体に挿入する部分全体を、表面に亀裂、へこみ、膨らみ、傷、突起、たるみ、折れ曲がりなどの変形や、ファイバースコープ内部からの金属線の突き出しなどが無いか目視で確認します。
・内視鏡画像にくもりが無いか確認します。
・先端部の送気、送水ノズル部分に突き出し、へこみ、変形などの異常が無いか確認します。
・挿入部を手で握り、先端部に向かい手で滑らせて、挿入時、引き抜き時の妨げになる引っ掛かりが無い事を確認します。
・挿入部に湾曲ゴムのたるみ、湾曲ゴム接着固定部の剥がれ、軟性管の屈折が無い事を確認します。
・挿入部全体に適切な軟らかさを保っているか、軟らかさに不連続性が無いかを確認します。
・挿入部に光沢消失が見られないか、白線指標に色褪せや変色が無いか確認します。
・操作部の各種ノブのぐらつき、がたつき、引っ掛かりなどが無い事を確認します。
・先端レンズに傷、欠け、汚れ、脱落、飛び出しが無い事を確認します。
・噴霧ボタン及び、送気、送水ボタンの穴に異物が入っていないか確認します。
・鉗子栓本体の穴や鉗子栓のフタ部のスリットにひび割れ、裂け、変形、変色等が無いか、確認します。

以上の使用前点検において、不具合が確認された場合は修理又はメーカーへオーバーホールを依頼して下さい。

ファイバースコープの保守

ファイバースコープは患者の体内に挿入する機器です。洗浄、消毒、殺菌は徹底して行いましょう。

・全ての管路を、使用の有無に関わらず、毎症例後、洗浄、消毒(減菌)を行います。
・洗浄、消毒、減菌には、メーカー発行の取扱説明書に記載の薬剤を用います。
・取扱説明書に記載の無い薬剤を用いて洗浄、消毒、減菌を行う場合は、必ずメーカー又はメーカー指定のサービスセンターへ問い合わせます。
・ファイバースコープ及びその付属品は、洗浄によって微生物や有機物を取り除いたのちに消毒又は減菌を行います。その際、洗浄液は出来るだけ泡立てない様に注意して行います。
・消毒を行う際は、ファイバースコープ本体と付属品を完全に薬剤に浸し、外表面及び各管路内の気泡を完全に除去します。
・薬剤をすすぐ際には、ファイバースコープの外表面、及び各管路内に薬剤が残らない様に減菌水で十分に洗い流します。
・塩化ベンザルコニウムを含む消毒液は使用しない。
・オゾン水へは浸さない。
・専用の洗浄チューブを用いて洗浄消毒を行います。
・ファイバースコープの管路内をすすいだ後は、空気を注入して十分に乾燥させます。

まとめ

今回は、ファイバースコープの保守点検をする際の注意点をお伝えしました。患者の体内に挿入する機器ですので日頃の管理はきちんと行いましょう。また、ファイバースコープなど医療機器を使用する際は、必ずメーカーの取扱説明書をご覧下さい。

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