最新式のCT装置に備えられている機能とは

診断用機器

コンピュータグラフィックスによって人体内部の様子を画像化する医療機器・CT装置。その存在は、現代医療に大きく貢献しているものと言えるでしょう。現時点(2021年時点)において最新型に位置付けられるCT装置には、どのような機能が備わっているのでしょうか。

CT装置の原理と構造

始めに、CT装置の基本について振り返っておきたいと思います。

CT装置は、放射線の物体透過能力を応用した医療機器の1種です。用いられている原理としては、レントゲン写真を撮る際に行われるX線撮影と同様と捉えて差し支えありません。

物体にX線を照射すると、物体内部の物質の違いによってコントラストをなして透過されます。コントラストが現れることによって、内部の様子が視覚的に把握できるというわけです。

X線撮影では、人体を通り抜けた後の放射線が濃淡をなして写真に写し出されます。一方、CT装置では、人体透過後の放射線がデータとして検知されます。そのデータについてコンピュータ解析が行われ、体内のCG映像として表示される仕組みとなっているわけです。

CT装置は構造的に、ガントリ・クレードル・コンソールといった3つの装置から構成されています。

ガントリは、被験者の身体を中央の開口部に通す、ドーナツ状の装置です。その内部には、X線を開口部に放つX線管球と、X線をデータとして受け取る検出器が、開口部を挟んで向かい合うように配置されています。

これら内部の機器が高速で回転しながら、開口部に入っている人体に360°方向からX線を当てる形で検査が進められます。

クレードルは、被験者が横たわる寝台に相当します。上部に被験者を乗せ、ガントリ開口部にスライドする構成となっています。そのスライド機能により、360°方向からX線が照射される箇所について位置換えを行うことが可能となります。

コンソールは、ガントリとクレードルの操作を含め、CT装置全体のコントロールを行う部分となります。ガントリの検出器から入力されるX線データを解析して画像化するコンピュータや、それを写し出すモニターなどで構成されています。

基本的にCT装置では、人体内部の画像を、人体を輪切りにしたような断面図で表示します。ガントリによる360°方向X線照射箇所がその断面部分に相当し、クレードルのスライドによってその断面部位が変更できるというわけです。

最新型CT装置の機能

CT画像の精度は、X線検出器の数に左右されるものと言えます。検出器を増設することでデータ検知の範囲が広くなり、同一のクレードル位置から得られる断面画像が多くなり、加えて断面どうしの間隔もより細かくなります。

検出器の増加に伴い、1回の360°回転から複数の断面画像を得る機構はマルチスライスと呼ばれます。2010年以降のいわゆる最新式に相当するCT装置では、これまで以上に検出器を多く配置することにより、マルチスライス機能も向上しています。
断面間の密度が高まったことにより、断面のみならず、人体内部を立体的に画像化することも可能となりました。

CT装置は非常に有効な医療検査機器である一方、人体に有害な放射線を扱う性質上、健康被害のリスクが伴う機器であるとも言えます。

最新式CT装置には、X線被ばくリスクの低減に重点が置かれたタイプも存在します。撮影時間短縮に繋がる機能に加え、ソフトウェアによる線量調整などを用いることにより、X線照射量を必要最低限に抑える措置が設けられているわけです。

まとめ

以上のように、CT装置の基礎的部分を踏まえつつ、最新式CT装置の向上点として、マルチスライス機能の性能アップや被ばくリスクの低減などが挙げられることを確認してまいりました。CT装置は今後も、最新技術を取り入れながらさらに発展していくものと予想されます。

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