ファイバースコープを使用した検査における感染対策について

生体現象測定記録・監視用機器

体内を観察するために医療現場で使用されているファイバースコープは、患者の体液や血液などで汚染されるため、感染対策として検査後速やかで綺麗に消毒する必要があります。今回は、ファイバースコープにおける感染対策について説明していきます。

ファイバースコープの感染リスクについて

ファイバースコープは、消化管や尿道など体内の臓器を観察するための医療機器で、がんなどの様々な疾患を診断することが出来ます。患者の粘膜に直接触れるため、検査が終了したらすぐに付着した血液を除去して、消毒する必要があります。

構造がシンプルな腹腔鏡や尿道鏡などは、洗浄・消毒が容易ですが、消化管や気管の検査に使用されるものは構造が複雑なため、洗浄するのにも手間がかかります。

ファイバースコープにおける感染症の原因について

ファイバースコープを使用した検査で、感染症を引き起こす原因は、次の様なことが考えられます。ファイバースコープのチャンネル内の洗浄・消毒が不十分なまま終了してしまっている場合、消毒薬の濃度・種類・使用回数が不適切な場合、洗浄機の故障などです。定期的な点検も大切です。

ファイバースコープの洗浄方法について

検査終了後、洗浄する前にベッドサイドで表面に付着した血液をガーゼで拭き取って下さい。そして送気・送水チャンネルと生検鉗子チャンネル内から界面活性剤を吸引します。その後、専用のブラシで処置具の挿入部分および吸引口のブラッシングをし、汚れを除去していきます。洗浄する際には、酵素洗浄剤を用いて下さい。

ファイバースコープの消毒の流れについて

ブラッシング終了後、洗浄消毒機にファイバースコープを入れて消毒を行います。洗浄消毒機に入っている特殊な洗浄剤と消毒剤をファイバースコープに高圧で流し込み、水で濯ぎます。

その後、送気をしてある程度の水を飛ばし、さらにファイバースコープ内を乾燥させる目的で、鉗子口にアルコールを注入して、水を完全に除去します。この消毒にかかる時間は、水圧・温度や消毒薬等で前後します。また消毒薬では適切な換気は必須になります。

検査前の感染対策について

検査前に行うべき感染対策は次の様なものがあります。検査室内には手指を消毒するアルコールを常備しておく、ベッドには紙シーツを敷く、枕には吸水性シートを敷く、検査医と介助者はエプロン・ガウン・フェイスシール・マスク・手袋などの防護具を装着することなどがあります。

検査終了後の感染対策について

検査終了後には次の様なことに注意しながら感染対策を行って下さい。装着していた防護具はすぐに廃棄するか洗浄スペースに持っていく、使用したファイバースコープの洗浄・消毒を速やかに行う、検査室内の清掃をする、使用した紙シーツおよび吸水性シートを取り換える、検査室内を十分に換気するなどがあります。

まとめ

ファイバースコープを使用した検査は、人の粘膜に機器が直接触れるため、患者の血液が付着します。検査室内の感染対策はもちろん、検査が終了したら速やかにファイバースコープの汚れを洗浄および消毒を行う必要があります。

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