くも膜下出血の早期発見が出来る頭部MRIについて
頭部MRIは、磁気を利用して脳内を画像として撮影することで、くも膜下出血や脳卒中などの疾患を早期発見することが出来ます。この記事では、くも膜下出血について頭部MRI検査を行う際に、気を付けるべきことについて説明していきます。
くも膜下出血とは
「くも膜下出血」とは、動脈壁にある血管が瘤状に変化し、その脳動脈瘤が破裂することによって発症する疾患です。脳とくも膜の隙間にあるくも膜下腔が出血した状態になり、診断が遅れた場合には合併症などの重度な後遺症または最悪の場合、死にいたることもあります。
よく見られる症状は、激しい頭痛や吐き気などです。また認知症が悪化し、物が2重になって見えることもあります。
治療方法について
くも膜下出血の治療法は、出血の状態・脳動脈瘤がある位置と大きさ・年齢・患者さんの体調などを考慮して、再出血を防ぐための処置をした後に、脳血管攣縮の治療が行われます。手術の方法は、直接脳動脈瘤にクリップを挟み出血を止める「開頭クリッピング」と、細いカテーテルを利用して脳動脈瘤にコイルを入れる「瘤内コイル塞栓」があります。
頭部MRIについて
頭部MRIは、脳内の様々な疾患の腫瘍を発見するものです。MRIは「Magnetic Resonance Imaging」の略語で、トンネル型装置に磁気を発生させて体内を構成している水素原子を利用し、色々な角度から鮮明な画像を撮影する検査です。検査費用の目安は、約25,000円です。なお、保険適用の場合には、約8000円になります。
配慮すべきことについて
検査には40分程度かかります。放射線や造影剤を使用せずに時期を利用して撮影するので、CT検査と比べると体への負担はありません。しかし、MRI検査は狭い空間で振動によって音が鳴り響くため、大きな音が苦手な患者さんにはヘッドホンの装着をすすめるなどの配慮が必要です。
磁気に影響するものについて
MRI検査は強力な磁気を利用して行うため、確認すべき事項がいくつか有ります。患者さんが磁気に影響する金属類(指輪やネックレスなどのアクセサリーや時計など)を装着していないか、ポケットの中にクレジットカードなどが入っていないか、過去に受けた手術で脳の血管を広げる金属製のステント、人工内耳、ペースメーカーを植え込んでいないかということを確認して下さい。
やけどの原因となるものについて
化粧する際に使うマスカラおよびアイラインに関しては、やけどする恐れがあるため、検査前に綺麗に落とされているかどうか確認して下さい(これらには酸化鉄が含まれています)。そして、磁気に反応してやけどの原因となるコンタクトレンズもあるので、装着は控えていただくか、問題ないかどうか確認したうえで安全に検査しましょう。
また、タトゥや刺青も金属を含んでいますので検査が受けられない場合もあります。
開頭クリッピング術を受けた患者さんへの、MRI検査の影響について
過去に脳動脈瘤の再出血の手術を受けて、クリップを使った処置をした患者さんの場合は、基本的にはMRI検査を受けても大丈夫です。しかし、念のため手術を行った医療機関に問い合わせて問題ないか確認することをおすすめします。
まとめ
くも膜下出血の発見が手遅れになると、最悪なことに死亡してしまう場合があります。そんな危険な疾患の原因を早期発見するのが「MRI」です。検査前の確認事項を守り、患者さんが安心して検査を受けられる様に対応しましょう。