患者さんが血圧計を購入する際の医療費控除について
血流に関して何らかの疾患を抱える患者さんの医療にとって、日常的な血圧測定は有効な手段の1つです。医療費控除を受けることで、患者さんが血圧計を購入しやすくなり、日々の血圧測定が可能となります。血圧についての基本を踏まえつつ、控除を受ける条件について見ていきたいと思います。
血圧とは
血流が内側から血管を押す圧力、それが血圧です。血液には呼吸によって肺に入ってきた酸素を取り込む性質があります。それを全身に行き巡らせ、各細胞に酸素を供給する上で欠かせない役割を担うのが血管となります。
血管内に血液を流す原動力となっているのは、心臓の働きである心拍です。心臓を構成する心筋が周期的に緊張と弛緩を繰り返すことにより、心臓はあたかも液体に流れを生じさせるポンプのような運動を行うこととなります。これによって血管内には、循環を促す血流が発生するというわけです。
血流を生じさせるべく心臓が血液を押す圧力すなわち血圧は、同時に血管内壁へも掛かることとなります。血圧は血管に対しての負荷となり、過剰に大きい場合には血管にダメージを生じさせ、それが循環器系疾患の要因ともなります。
つまり、健康を維持する条件の1つとして、血圧が適正な強さで保たれていることが挙げられると言えるわけです。
血圧測定とその習慣付けの重要性
血圧の強さは、血圧計を用いた測定で知ることができます。測定の目安となるのは、最高血圧と最低血圧の2つです。
心筋の緊張に伴って心臓が収縮し、血管内血液が強く押し出される時の血圧が最高血圧となります。反対に、心筋の弛緩に伴い心臓が拡張している状態、すなわち血液に圧力が加えられず、血液が押し出された時の余波すなわち慣性で血流が生じている際の血圧が最低血圧です。
主な血圧計では、上腕にカフ類を巻き徐々に圧迫していくことによって測定がなされます。手動のタイプでは動脈から聞こえるコトロコフ音の変化によって、電子血圧計では血管壁に生じる脈波の変化によって、最高血圧と最低血圧が判別される仕組みとなっています。
血圧の正常値は一般的に、最高血圧で140mmHg未満・最低血圧で90mmHg未満とされています。これを上回る値の場合、血管には許容以上の負荷が掛かっている高血圧と見做されることとなります。
しかし、血圧は日常生活の様々なシーンごとに変動するものであり、常に一定というわけではありません。正確な数値を把握するには、日常的な血圧測定を習慣付けることが有効です。毎日決まった時刻にリラックスした状態で測定することにより、普段の健康状態に照らし合わせた血圧状態をより正確に認識することができます。
医療費控除と血圧計への適用
高血圧症など、血圧に起因する持病を持つ患者さんにとって、血圧測定の習慣化は医療措置を行う上で効果的なものと言えます。なぜなら、血圧の状態を詳細に把握することで、改善に向けてより有効な治療に繋げることが可能となるからです。
それを実現するには、電子血圧計など家庭でも使用できるタイプの血圧計を、患者さん自身に購入していただくことが必要となります。患者さんにとっては購入費が負担となりますが、医療費控除の対象となる旨をお伝えすることで、負担軽減に繋げられることでしょう。
医療費控除とは、年間の医療費負担について一定金額を超えた場合、その超えた分の金額を後日還付金の形式で払い戻すという、行政上の制度です。
年度ごとに、年間の所得収入を申告しそれに関する課税額を決定する確定申告の手続きを行う際、医療費負担額を提示することで、還付可否の判断対象となります。
年間の医療費合計が10万円以上、もしくは年間所得が200万円以下の場合で所得金額の5%以上となる場合、超過分の支払い金額が還付金として患者さんに戻って来るわけです。
医療費控除の対象となる負担については、ケースによって細かく分類されることになります。血圧計においては、健康管理を目的に自主的に購入した場合では、控除対象と見做されません。しかし、血圧関連の持病を持つ患者さんが医師からの指示を受けて購入する場合、治療の一環として必要な費用と見做され、控除対象に該当することとなります。
まとめ
血圧系の疾患を抱える患者さんの治療には日常的な血圧測定が有効です。そのことについて血圧の基礎から順を追って踏まえつつ、患者さんに血圧計購入を促す際に、医療費控除利用のアドバイスができることを確認してまいりました。
日常的な血圧測定に必須となる血圧計の所有を医師が患者さんに勧めることで、血圧計購入費用が医療費控除の対象となり、患者さんの費用負担軽減にも寄与することとなるわけです。