心臓のリズムの異常に気付く「心電図」のメカニズム

生体現象測定記録・監視用機器

心臓の検査は心電図が基本と言われています。その心電図は、心臓の特徴を活かしたメカニズムでできていました。今回は体内にある、にぎりこぶしサイズの心臓をどのように検査しているのかご紹介します。

心臓の電気の流れを記録したものが心電図

心臓は電気が起爆剤となって活動しています。その電気は、右心房上大静脈の開口部近くの洞穴節でつくられます。ここで1~10数ミリボルト(mV)の電気が、1分間に60~80回つくられるのです。

この電気は、心臓にはりめぐらされた回路(刺激伝導系)を通ります。その道順は心房を通り、次に心臓の中心部にある房室結節に入った後、左右の心室へと入っていきます。電気が流れると筋肉が興奮し、心房と心室が順に収縮を行うのです。

つまり心臓がリズミカルに動くのは電気によるものなのです。そして、心房や心室を通る電気をキャッチして記録したものが心電図になります。

心電図検査

人間の体は、食塩やマグネシウムなど電気が通りやすいものでできています。なので微弱な電流でも電気を通すことができます。検査ではケラチンクリームを塗ります。これは皮膚の抵抗を下げて、電気の伝導をよくするためです。また、手足についている電極が冷たいと感じるのは、伝導を良くするために生理食塩水で濡れているからになります。

検査はベッドに仰向けに寝た状態で、左右の手首・足首4箇所と胸6箇所にシール型の電極を貼り付けて行います。これを12誘導心電図といいます。手首・足首の電極は4つですが、得られる波形は6つあり、胸部誘導と合わせると12の波形の記録になります。

もし、手首や足首につけられない場合や四肢の震えが強い場合は、肘や上腕、膝や太ももにつけても波形に大きな変化はないとされています。

心電図波形と意味するもの

心電図の波形は3つの波の繰り返しです。最初に起こるのが、心房の興奮であるP波。2番目にくる大きな波は、心室の興奮を示すR波。そして、心室の興奮がさめるT波になります。波の高さと深さ、幅をみることで心臓の状態をモニタリングすることができます。

例えば、R波が正常値の高さを超えた場合、それは電気の流れる力が強いことによって起こります。この場合、心肥大が疑われます。心肥大を起こす疾患としては、高血圧、弁膜症、心筋症などがあげられます。

逆にR波が小さいときは、心臓が作り出す電気的エネルギーが減弱しているか、または心臓と電極間の電気抵抗が増している場合に起こります。電気的エネルギーが減弱している場合、心筋梗塞などによって心筋がダメージを受けている可能性がある状態です。後者の電気抵抗が増している場合の主な要因としては、前胸部の浮腫、肥満、胸水の貯留などがあげられます。

まとめ

心電図は体内にある心臓の電気の流れを計測するものです。人間の心臓は電気によって活動しています。その電気の流れが、正常であるかどうかを診るのが心電図であります。それによって、心臓のリズムの異常に気付くことができるため大切な検査の1つと言えるでしょう。

ピックアップ記事

関連記事一覧