ファイバースコープはきちんとした洗浄で感染防止を
ファイバースコープという医療器具は、その性能の向上と共に、消化器系などの病変の診断や治療に不可欠なものとなっています。しかし、一方ではこの器具による感染も問題となっています。そこで、今回はファイバースコープの洗浄やその手順について解説します。
ファイバースコープ洗浄の手順
ファイバースコープを用いた検査の後、器具の清掃を行います。手順は次の通りです。
最初に、器具の外表面に付着した汚物などありますので、タンパク除去剤付きのガーゼなどで拭き取ります。
次に、200ml以上の洗浄剤(弱アルカリ性または中性洗剤)を吸引して、チャンネル内部の残留物(血液・粘液などの体液)を取り除きます。そして、専用のチャンネル洗浄アダプターを付けた後、送気と送水の両部分に送気と送水をします。
最後に、スコープを光源装置から取り外し、防水キャップをしっかり取り付けた後、取り扱い説明書に準じて漏水テストをします。
〇注意点
200ml以上の洗浄剤を数回に分けて吸引しましょう。また吸引にはたんぱく質などを凝固させる薬剤の使用は避けてください。
流し台での洗浄
最初に、スコープ外表面を洗います。まず器具の全体の外側を洗浄剤付きのスポンジ、ブラシ、ガーゼなどで汚れを落とします。各部分(操作部・ユニバーサルコード・挿入部・コネクター)を洗浄します。先端にあるレンズ面は、専用の布で洗います。洗浄剤は、弱アルカリ性か中性の洗剤を使用します。
次に、ボタン類や鉗子栓はブラシなどを使用し、穴の部分まで洗うことを要します。更に注意すべき所として、鉗子栓はフタをあけてブラシで洗った後に十分に揉み洗いします。
最後に、チャンネル洗浄ブラシを使用して、全部のチャンネルをブラッシングします。最終確認でブラシに汚れがついていないかを目視します。
〇注意点
作業のしやすさ(流し台の大きさ、高さ、広さ)を考えて、作業は洗浄剤の中か流水で行いましょう。シャワーとカランの切り替え可能な蛇口がベストです。
洗い後の作業
洗い終わった後、器具を洗浄剤(弱アルカリ性か中性洗剤)に浸します。チャンネル内も全管路洗浄具を使って洗剤を満たします。次に、水道の水を流しながら器具外表面を濯いで、チャンネル内は全管路洗浄具を使用して多量の水ですすぎます。
〇注意点
器具内部に洗剤が残りやすいので気をつけましょう。洗剤が残ると消毒の効果が薄れます。
器具の消毒
ファイバースコープ専用の消毒器に入れます。説明書に準じてスコープをセットして、高水準消毒液が有効濃度であることを確認します。最後に強酸性電解水は残留(有効)塩素濃度が器具の規格値の範囲内であるかを確認します。
洗浄や消毒後の器具は、すすぎ水が残っていることもあるので、吸引・鉗子部分内にアルコールを置換して、送気や吸引で乾燥させます。十分乾燥させた後、専用の保管庫に入れて保管します。その保管庫も週1回以上アルコールで清潔に保ちましょう。
まとめ
ファイバースコープの洗い方を中心に、器具の消毒保管などについてご紹介しました。ファイバースコープの洗浄・消毒作業は手間がかかる行為ですが、院内での感染防止の観点から、とても重要な作業です。正しく洗浄して感染予防に努めましょう。