脳波計で睡眠時無呼吸症候群の治療と診断を!
睡眠時無呼吸症候群は、眠りの病です。この病の治療は、睡眠を客観的なデータとともに正しく知ることからスタートします。検査と診断に、脳波計は必要不可欠です。睡眠時無呼吸症候群について病院で行われる検査「睡眠ポリグラフ検査」についてご紹介します。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、10秒以上続く無呼吸の状態が一晩(7時間以上の睡眠中に)30回以上起きること、又は睡眠1時間に平均5回以上起きることと定義されています。特徴としては、いびきをかく、寝汗をかく、何度もトイレに起きる、日中の倦怠感や頭が重いなどがあります。
睡眠時無呼吸症候群が怖い理由
睡眠不足が原因で交通事故を起こしてしまうケースは珍しいことではありません。なぜなら睡眠不足は、認知・判断・操作の能力に悪影響を及ぼす原因となってしまうからです。睡眠時無呼吸症候群がもたらす社会的影響はとても大きいといえます。
車の事故以外にも医療事故、産業事故と睡眠不足がもたらす危険は、個人だけの問題ではないのです。睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療を受ければ健全な人と同じように日常生活を送ることができます。たかが睡眠不足と軽く考えず、しっかりと治療を受けることが大切です。
専門医療機関による確定診断「睡眠ポリグラフ検査」
睡眠ポリグラフ検査は、1泊2日の入院が必要です。精密検査が必要と判断された場合に、専門医療機関で検査を行います。頭や顔、体の必要な部位に20個ほどの電極を貼りつけて、睡眠中の脳波や呼吸、筋肉の動きなどを記録し、睡眠の状態を調べます。なかでも脳波はもっとも重要な指標となります。
睡眠時の脳波
脳波には5つ種類があります。ガンマ(γ)波・ベータ(β)波・アルファ(α)波・シータ(θ)波・デルタ(δ)波で、脳の活動状態をあらわします。
そのなかでも睡眠時に現れるのは、アルファ波・シータ波・デルタ波の3つ。シータ波は、眠りが浅い状況化で観察され、デルタ波は深い眠りに入ったときに現れます。ちなみにデルタ波は、手術の際の麻酔下でも出てくる電気信号です。
アルファ波は、安静・覚醒・閉眼状態にみられます。音楽を聴きリラックスした状態にもでることで有名です。アルファ波の振り幅はかなり個人差があります。
ノンレム睡眠とレム睡眠
ノンレム睡眠とレム睡眠の特徴を比較してみましょう。
〇ノンレム睡眠の特徴
・脳の休息(脳が眠っている状態)
・眠りが深い
・血圧が安定
・脈拍も少ない
〇レム睡眠の特徴
・体の休息(体の緊張が緩んで深く休んでいるのに、脳は起きている)
・眠りが浅い
・呼吸が浅い
・脈拍も変動気味
ノンレム睡眠は脳が休息している状態なので、脳波はゆったりとした波になるのが特徴です。それに対しレム睡眠時の脳波低振幅で特徴的な鋸歯状波(きょしじょうは)で、のこぎりの歯のような波がしばしば出現します。
ノンレム睡眠からレム睡眠へと移行する。これが1セットです。1セットの合計時間は、約70~110分で個人差があり、平均は90分になります。3~5回の繰り返しがあるのが通常です。
睡眠時の寝返りが、ノンレム睡眠とレム睡眠の入れ替わりの重要な役割を果たしています。ちなみに人は、一晩で20~30回も寝返りをうちます。睡眠ポリグラフ検査では、もちろん外れないようしっかりと装着するので、寝返りで外れるようなことはありません。
まとめ
・睡眠時無呼吸症候群は治療で治すことができる。
・睡眠ポリグラフ検査は、睡眠の深さと客観的なデータを得ることができる。その要となるのが脳波計である。今回は、睡眠時無呼吸症候群と脳波計についてお伝えしました。