外科医が手術に使う医療器具とは?種類ごとの特徴を解説
外科医が手術に使用する医療器具の種類はかなり多岐に渡るため、手術室で器械だしを担当する看護師などは使用する器具が多すぎて名称を覚えるだけでも大変な作業といえます。
術式に合った器具が必要となり、手術に使用する器具はすべて記憶して手術の進行に合わせて外科医師にスムーズに渡さなければならないからです。
一度の手術で約千回以上、医療器具を受け渡すことが必要ですが、まずは普段よく使う器具について把握しておきましょう。
そこで、外科医が手術に使う医療器具の種類と、それぞれの特徴を解説していきます。
手術で使用する医療器具
手術では術式によるものの、さまざまな医療器具が使われることは共通していきます。
手術前と術中に追加した器具が術後にすべて揃っていることも重要となるため、カウントミスがないか確認することも必要です。
そこで、手術で使用することが多い次の6つの医療器具について知っておきましょう。
鉗子類(かんし)
「鉗子」とは、臓器や組織、血管などを把持するための手術器械です。
用途により種類は次のように分かれます。
・有鉤鉗子(ex.コッヘル)…先端に鉤あり
・無鉤鉗子(ex.ペアン)…先端に鉤なし
他にも先端が丸いものもあれば細いものもあり、弯曲の程度などによって名称は変わるなど術野状況で使い分けられます。
鑷子類(せっし)
「鑷子」とは、わかりやすくいえばピンセットのことで、組織の把持やつまむための器械です。
ガーゼを持つなど指の代わりに使いますが、有鉤と無鉤や長さや形もさまざまで、使用用途や術野に応じた使い分けが必要となります。
剪刃類(せんとう)
「剪刃」とは手術で使用するハサミのことで、組織の切離・剥離の他、糸やドレーンなどを切るために使う器械です。
術野の浅さや深さ、何を切る目的で使用するかによって使用する剪刃の長さや種類は変わります。
鉤類(こう)
「鉤類」とは、術野や操作スペースを確保するために使用される器械で、皮膚・皮下組織・筋肉・骨の牽引や臓器の圧排などに使います。
術野の浅さや深さ、使用用途などで使用する鉤類の長さや大きさが異なります。
メス類
手術開始後に最初に出る器械であり、皮膚を切開するために使用します。
細かな切開・切離でも用いられ、
・刃の先端が尖っている尖刃刀
・カーブ状の円刃刀
・高周波電流を使う電気メス
など様々な種類があります。
持針器類(じしんき)
縫合する際に必要な針を持つ器械で、縫合・結紮・吻合などに使用します。