エキスパートパネルとは?開催される理由とがん治療になぜ必要なのか解説
エキスパートパネルとは、がん遺伝子パネル検査で得た結果について、臨床上の意味を医学的解釈することを目的とした会議です。
検査結果や検出された遺伝子変異に対する生物学的意義、推奨される薬剤や臨床試験の順位などを検討し、患者に適した治療法を検討することになります。
そこで、エキスパートパネルとは何なのか、開催される理由やがん治療において必要なわけについて説明していきます。
エキスパートパネルとは
「エキスパートパネル」とは、いろいろな専門家が適切な薬剤選択を推奨することを目的として開催される会議であり、専門家による「がん遺伝子パネル検査」の解析結果について検討する委員会です。
がんゲノム医療中核拠点病院を中心に開催されている会議であり、複数の専門家で構成される検討会ともいえます。
遺伝子解析結果と効果の期待できる薬剤の有無、遺伝性疾患につながる遺伝情報など二次的所見について検討していきます。
がん遺伝子パネル検査で一度に調べる遺伝子の数はとても多いため、結果についても研究結果など参考に特定の薬剤の効果について協議されます。
遺伝子異常に対する効果が期待できる薬剤はあるのか検討する会議であり、医学的に解釈する多職種による検討会であるともいえるでしょう。
エキスパートパネルの構成員
エキスパートパネルの構成員とされる専門家は、
・臓器の薬物療法専門の常勤医師(複数名)
・遺伝医学専門の医師
・遺伝カウンセリング技術を持つ医療スタッフ
・病理専門の常勤医師(複数名)
・分子遺伝学・がんゲノム医療の専門家
です。
効果が期待できる薬剤があれば、臨床試験など含めた薬剤の使用を検討することになり、効果が期待できる薬剤がなければ他の治療方法について検討します。
患者の担当医にエキスパートパネルの結果が記載されたレポートを返却することで、担当医から患者に説明や治療方針の提案が行われる流れです。
がんの原因は遺伝子の変異
人間の体はたくさんの細胞から成り立っており、一部の細胞が異常な増殖をはじめ、周辺組織や他臓器に入り込み体を衰弱させてしまう「がん」は、遺伝子の変異によるものです。
変異することにより、がんに結びついてしまうと考えられる遺伝子は、これまでに数100個発見されています。
どの遺伝子に発生した変異でがんが発生するかなどは、患者ごとに異なるものの、いずれも遺伝子が変異することによるものに変わりはありません。