在宅での人工呼吸器の使用では発電機は必要なのか?
平成30年度の診療報酬・介護報酬の同時改定では「医療から在宅へ」というキーワードが要となっており、医療ニーズが高い方であっても生活の場が在宅へシフトするケースが増加することが予測されます。住み慣れた自宅で人生の最後を迎える「看取り」という選択肢が選ばれるケースも珍しくはなくなるでしょう。在宅人工呼吸療法(HMV療法)や在宅酸素療法(HOT)などの医療的なモニタリングが必要である治療法の理解も必要となります。
○在宅人工呼吸療法(HMV療法)とは?
肺の疾患や呼吸を支配する神経・筋の疾患により呼吸機能が低下している方に対して人工呼吸器を装着し、在宅などで療養されることを在宅人工呼吸療法(HMV療法)といいます。
病院で人工呼吸器を装着して在宅に戻られる際には在宅用の人工呼吸器を使用し、必要に合わせて肺痰補助装置なども使用します。もちろん在宅では医師や看護師が常駐している訳ではないため家族の協力や理解、在宅ケアに関わる医師や看護師、病院、訪問看護ステーションや訪問介護、人工呼吸器のリース・販売会社などといった他職種・他事業所の連携が重要となります。
○在宅用の人工呼吸器とは?
在宅用の人工呼吸器は家庭用のコンセントにて電源供給が可能です。また、ほとんどの機種でリチウムバッテリーが内蔵されており、病院受診やデイサービス等の送迎時などコンセントから電源供給ができない場合でも対応することが可能です。
ただし、リチウムバッテリーでの駆動時間は機種やバッテリーの劣化具合によって大きくことなり、1時間半程度〜10時間程度の駆動が可能なものまでさまざまです。
ここで問題となるのは停電時による長時間の電源供給停止です。数時間であれば内蔵バッテリーでカバーできますが、それ以上の停電ではバッテリーだけでは対応することができません。
○在宅用の人工呼吸器には発電機が必要?
停電時における人工呼吸器の使用についてはいくつかの対策があります。1つめは予備バッテリーを準備しておくことです。人工呼吸器のリース・販売会社によっては予備のバッテリーを貸与してくれる場合があるので相談してみましょう。
2つめは蘇生バッグの使用です。在宅で人工呼吸器を使用されている方は緊急時用の蘇生バッグが用意されています。蘇生バッグは5秒に1回の速さでゆっくりと操作を行います。
3つめは発電機を準備しておくという選択です。ガソリンを使用して駆動する発電機はガソリンさえあれば数日間でも電源供給を確保することが可能です。人工呼吸器だけでなく、肺痰補助装置やベッドのリクライニング、エアマット等の電源供給を必要とする医療機器への対応も可能となります。
家庭用の発電機はさまざまなタイプが発売されていますが、16アンペア程度であれば十分に電源供給を確保する事ができるでしょう。