医療機器を巡る訴訟で争点のポイントとなる製造物責任法(PL法)とは?
医療機器で問題が起こり、訴訟問題へと発展したときのために、理解しておきたい法律が製造物責任法(PL法)です。
製造物責任(PL)法は、製品欠陥で人の生命や身体・財産に被害が発生したことを証明した場合、製造業者等に損害賠償を求めることができるとする法律です。
世の中に流通するいろいろな商品や製品に適用する法律であるため、医療機器による事故やトラブルが発生し、訴訟となったときの争点のポイントにもなるといえるでしょう。
そこで、医療機器を巡る訴訟で争点のポイントとなる製造物責任法(PL法)について紹介します。
製造物責任法(PL法)とは
「製造物責任法(PL法)」とは、製造物の欠陥を原因とした生命・身体・財産への損害について、製造業者などに損害賠償を求めることができるとする法律です。
「製造物(Product)」の頭文字「P」と、「責任(Liability)」の「L」の頭文字で「PL法」と呼ばれています。
不法行為責任に基づいた損害賠償請求は、加害者の過失を立証することが必要とされます。
そのため製造物責任についても、製造物の欠陥を立証することが求められるでしょう。
製造物責任法(PL法)の対象
製造物責任法(PL法)は、製造物を製造・加工した動産と定義しています。
人為的な操作や処理が加えられて引き渡された動産を対象としている法律です。
そのため、不動産・電気・ソフトウェア・未加工の農林畜水産物などは対象に含まれません。
PL法で製造や加工を定義する規定はなく、一般的に製造とは製品設計や加工・検査・表示を含む一連の行為とされます。
原材料に手を加えて新たな品を作り出すことを製造とし、動産を材料に工作を加え本質保持させつつ新たな属性を付加することが加工と考えてよいでしょう。
なお、ソフトウェアは無体物であるため対象に含まれないものの、ソフトウェアを組み込んだ製造物は対象になる場合があります。
安全性を欠いているかがポイント
製造物責任法(PL法)では、製造物が通常有する安全性を欠いている状態を欠陥としています。
安全性に問題はない単なる品質上の不具合なら、損害賠償責任の根拠である欠陥として扱われにくいと考えられるでしょう。
中古品の場合も、製造または加工された動産なら製造物であるため、製造物責任法(PL法)の対象に含まれます。
ただし中古品として売買されたものについては、前使用者の使い方や改造・修理の有無などが確認しにくいため、製造業者の責任はその事情を踏まえた上での判断になると考えられます。