人工肺とは?使用の目的や肺の医療機器の種類を簡単に解説

治療用機器

人工肺とは、肺のガス交換機能を代行する装置です。

心臓手術を行うための人工心肺装置の一部として開発された医療機器であり、心臓外科の領域では頻繁に使用されています。

心臓内部手術の際に無血状態を作るため、手術野を確保しやすくなることや、心臓機能を補助するなどのメリットがあります。

そこで、人工肺について、使用の目的や肺の医療機器の種類を解説します。

 

人工肺の目的

人工肺の目的は、生体の肺のガス交換機能を代行することです。

心臓疾患を外科的に修復する開心術を行うとき、心臓と肺に流れる血液を停止することが必要となります。

全身の代謝を維持するため、人工肺で全身から心臓へ戻る血液を体外に取り出し、血液ポンプで人工肺を循環させて一時的にガス交換を代行します。

 

肺の医療機器の種類

肺の医療機器として、主に以下の種類が挙げられます。

・体外式膜型人工肺(ECMO)

・総合呼吸抵抗測定装置(モストグラフ)

・呼吸機能測定装置(スパイロメーター)

・肺内パーカッションベンチレーター

・気管支充填材(EWS)

 

それぞれ紹介します。

 

体外式膜型人工肺(ECMO)

「体外式膜型人工肺(ECMO)」とは、心臓や肺の機能が低下した患者に対し、一時的に補助するために血液を一旦体外へ引き出し、人工的に酸素を供給して二酸化炭素を除去し、再度体内に戻す治療技術です。

主に重症呼吸不全や重症心不全の患者に使う生命維持装置となっています。

 

総合呼吸抵抗測定装置(モストグラフ)

「総合呼吸抵抗測定装置(モストグラフ)」とは、気管支の狭窄程度を精密に測定する医療装置です。

ぜんそくや慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの診断や治療で使用する医療機器であり、呼吸器疾患の診断や重症度の判定に使われます。

 

呼吸機能測定装置(スパイロメーター)

「呼吸機能測定装置(スパイロメーター)」とは、肺の呼吸機能を検査するための医療機器です。

肺に出入りする空気の量や速度を測定することで、肺の働きや呼吸関連の病気の有無、肺年齢などを測定できます。

 

肺内パーカッションベンチレーター

「肺内パーカッションベンチレーター」とは、ネブライザーで加湿された空気の塊を、高頻度・断続的に気道内へ送り、換気改善と喀痰排出を補助する医療機器です。

理学療法を伴った治療用人工呼吸器といえます。

 

気管支充填材(EWS)

「気管支充填材(EWS)」とは、「Endobronchial Watanabe Spigot(イーダブリューエス)」のことであり、気管支充填術に使用するシリコン製の医療機器です。

気管支鏡を用いて気管支に充填材を詰めて、気管支を閉塞させることで気漏や瘻孔を塞ぎます。

続発性難治性気胸や肺切除後のエアリークなどの病態の改善に向けた内視鏡的治療法といわれています。

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