医療機関の財産とは?基本財産と医療機関債・扱いについて簡単に紹介
個人事業主が会社を設立すると、たとえば株式会社として法人化することになります。
しかし医療事業の場合、個人のクリニックや診療所から医療法人として法人化されることになるといえます。
医療法人は出資持分がなく、非営利であるため、財産の扱いにも注意が必要です。
そこで、医療機関の財産について、基本財産と医療機関債、扱いを簡単に紹介します。
医療機関の財産
医療機関の財産は主に以下の2つです。
・基本財産…医療法人が医療活動を行う上で必要な土地・建物などの主要な財産
・医療機関債…財務良好な医療法人が資産取得を目的に発行する債券
基本財産とは
「基本財産」とは、医療法人が医療活動を行う上で必要な医療施設のことであり、保全することが必要です。
医療法人化の要件には、基本財産とその他の医療法人業務に必要な普通財産を拠出することとされています。
そのため基本財産は、法人存続の基礎であるため安易に処分はできません。
処分や担保に供するときには、原則、所轄庁の承認を受けることが必要です。
医療法人社団は基本財産が資産となるため、出資金とは結び付かないものの、医療法人財団は基本財産と基金が一致します。
基本財産は医療法人設立の際の土地や建物とすることが多いといえるため、特に意味も分からずに病院の土地や建物を基本財産に設定している医療法人もゼロではないようです。
医療機関債とは
「医療機関債」とは、医療法人が資金調達を目的に発行する債券です。
病院運営には活動資金が必要であり、設備や医療機器の購入においても多額の資金が必要となります。
そこで、医療法人の信用力に基づいて資金を調達するときに発行できる債券であり、財務内容が良好な医療法人でなければ発行できません。
医療機関債の仕組みは以下のとおりです。
①医療法人が購入者に資金を払い込んで医療機関債の証書を交付する
②約束した期間満了時に元金を返済し証書を返却する
③期間中に約束した利率の利息を年1回購入者へ振り込む
医療機関債のメリットとして、以下のことが挙げられます。
・固定金利での長期的に安全な資金を確保できる
・財務内容の優良性をアピールできる
・新規設備投資の際に期日一括償還または定時償還によるキャッシュフローを安定化できる
なお、医療機関債は証券会社を介さずに、直接、資金集めを行います。
そのため数千万円から5億円程度の資金調達に利用されることが多いといえるでしょう。