医療法人における資産運用とは?考え方や注意点を簡単に紹介

医療法人の資産運用に関して、法的な規制は特にありません。
厚生労働省の「特定医療法人の定款例」では、医療法人の資産運用策が限定的なものになっているものの、資産形成できないわけではないといえます。
そこで、医療法人における資産運用について、考え方や注意点を簡単に紹介します。
医療法人での資産運用の考え方
医療法人の有価証券運用について、特に法的な規制はありません。
ただし、厚生労働省の「医療法人運営管理指導要綱」には現金について、銀行・信託会社に預け入れ・信託・国公債・確実な有価証券に換え保管するものと記載されています。
たとえば国債や地方債などの安全性や確実性が保たれる有価証券は認められるでしょう。
ただし、売買利益の獲得目的の株式保有は適当ではないとも明記があるため注意が必要です。
有価証券の購入においては、都道府県の意見を確認したほうがよいでしょう。
定款の確認が必要
医療法人の資産管理については、定款で内容を定めます。
厚生労働省が公表しているモデル定款を参考として定款作成した場合、現金を国債へ換え保管することに関しては問題ないといえるものの、株式として保有する場合は注意してください。
医療法人における資産運用の注意点
医療法人において、売買目的の株式を購入し、保有することは適当とはいえません。
売買目的ではない株式や社債を購入する場合、確実な有価証券であるかを判断しなければなりません。
しかし確実な有価証券の判断基準は示されておらず、個別での判断が必要です。
そこで、どのような基準かは監督官庁でも判断が分かれると考えられるため、監督官庁へ確認したほうが安心といえます。
医療法人は非営利であることが求められています。
厚生労働省の「医業経営の非営利性等に関する検討会」でも、一般的な非営利法人制度として、株式保有する営利企業の全株式の2分の1を超える株式保有は行ってはならないという記載もあります。
そのため医療法人も非営利法人のため、支配権を獲得する株式保有はできないと解釈できます。
株式を保有する場合は、この点にも留意が必要です。
都道府県による把握・指導
医療法人は、毎年1回、管轄の都道府県に決算届を提出します。
決算届には貸借対照表があり、多額の有価証券計上があれば、都道府県から確認されます。
確実な有価証券の判断は難しいため、医療法人の株式投資や投資信託は避けた方がよいでしょう。