ファイバースコープなど内視鏡を使った手術がいずれ主流になる?

治療用機器

日本人に多く見られる胃がんを見つける胃カメラとして、1950年頃実用化されたのが「内視鏡」です。ただし実用化された当時は現在のものとはかなり内容が異なり、胃の中にカメラを入れ撮影し、後でその画像を用いた診察を行うという流れだったようです。
そのような時代を経て、のぞき穴を覗きながらレンズの先を確認できる一眼レフカメラのような仕組みを持つ「ファイバースコープ」が開発され、さらに現在のデジタルカメラのようなレンズの先の映像をモニターに映し出すことができる「ビデオスコープ」に進化しました。
現在では複数の医師が同時にリアルタイムで映像を確認できるので、診察や手術など幅広い状況に対応できるようになっています。

内視鏡に求められること
内視鏡を用いた検査により、ポリープが多く発見されている部位は大腸です。50歳以上になると5割以上の割合で内視鏡により発見されるといった調査結果もあるくらいです。
この大腸という場所は、120~150cmととても長く、途中4か所の大きな急カーブがあります。内視鏡検査では、カーブの形に合わせながら戻して進めていくという作業が必要なので、小回りがきくことが重要な要素だと言えるでしょう。
そして大腸がんの治療では手術でも内視鏡が用いられます。早期がんの場合、内視鏡の先からポリープを切り取る治療がありますが、4か所目のカーブを曲がったような奥部分にポリープが存在していると、手元の操作が難しいのである程度の曲がりやすさや柔らかさなども必要です。

内視鏡の倍率が向上したことによって?
また、口から挿入する拡大内視鏡の倍率はこれまでは80倍だったのですが、今後は520倍まで拡大され、細胞の核まで見ることができるレベルまで向上されます。
80倍でもポリープの表面構造は見ることができるので、毛細血管の血液の流れは確認できるレベルでしたが、確実に診断するために生検という細胞の一部を取り出す検査が必要でした。
それが520倍になることで、組織の一部を取り出して検査しなくても、内視鏡を通してリアルタイムで確認することが可能です。
内視鏡を除けば、それががんなのかを確認することができるのは、確定診断を待つ時間のロスがなくなり、すぐに治療に入ることが出来る様になるでしょう。

今後は内視鏡を使ったロボット手術も可能に?
将来的に内視鏡を使ったロボット手術なども検討されており、腹部に小さな穴をあけて行う腹腔鏡手術の際に、ロボットの腕を入れて手術する方法が用いられるようになるでしょう。
既にロボットの腕が2本出るものが作られ始めているようで、実用化されるのはまだ先でしょうが、いずれは腹部に穴を開けることもなく、肛門から内視鏡を挿入して手術できる日が来る可能性もあります。
それと同時に、胃の手術も口からの内視鏡を挿入して手術できるようになれば、切る手術は今後医療現場では行われなくなるかもしれません。

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