麻酔器使用時の人工呼吸器の一回あたり換気量はどれくらい?
【はじめに】
麻酔器を使用しているときの人工呼吸器一回当たりの換気量は基本的に10ml/kg、それから呼吸回数は10~12回/分が望ましいとされてきました。
麻酔器を使用しているときは普通の状態、つまり安静時に比べ末梢軌道が力なく弱ってしまう傾向が強く一回当たりの換気量は安静時よりも多くなってしまいます。
今回そんな人工呼吸器の換気量について考えてみたいと思います。
【麻酔時の一回当たり換気量の基準は近年変わってきている】
近年、集中治療領域における研究報告で全身麻酔中の一回当たりの換気量を低く保ったほうが呼吸機能の改善に役立つという見方もされていて、麻酔時でも一回当たりの換気量が6-8ml/kgが推奨されるようになってきました。
【一回当たり8ml/kgが妥当とする見方もある】
通常一回当たりの換気量は理想体重を基準に設定されることが多く、そこで利用されるのが「BMI」という体重と身長の比率を数値化した指標となります。
理想のBMIの数値は22.0とされていて、この数値を利用しての一回当たり換気量の計算方法は以下のようになります。
身長(m) × 身長(m) × 22.0 × 8
例えば身長1.8(m)の方の場合
1.8(m) × 1.8(m) × 22.0 × 8 = 570.24ml
つまり一回当たり570.24mlの換気量が必要という計算になります。
【男性と女性で違う一回当たりの換気量】
基本的に男性は女性に比べ筋肉量が多く代謝もよいことから一回当たりの換気量は女性よりも多くなる傾向があります。
また子供は、大人に比べ基礎代謝が良いので呼吸回数を大人より多く設定する必要が出てきます。一回当たりの換気量は子どもも大人の場合も8ml/kgが妥当と言われています。
【子供の呼吸回数について】
子供の呼吸回数については「安静時心拍数 ÷ 4」というのが一般的で、以下参考までに子供の段階別呼吸回数を紹介したいと思います。
新生児:140bpm ÷ 4 = 35回/分
幼児:110bpm ÷ 4 ≒ 28回/分
中学生:80bpm ÷ 4 = 20回/分
となっています。
【まとめ】
いかがでしたか?
麻酔時の人工呼吸器の換気量はまだまだ個人的な見解なども多く「絶対」という設定は難しいといえるかもしれません。
それは先にも述べたように換気量を10ml/kgとしたらよいというケースや8ml/kgが妥当だというケースがあることからもわかると思います。
必要な知識を補完し、医療の現場で役立てていただけたら幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。