心電図で低電位となる原因とは?

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【はじめに】
心電図検査をすることにより、心臓の病気の発見など現状の把握、治療をしている場合は心臓に治療効果が出ているか確認することができます。
心電図で低電位という検査結果が出ることがあります。
これはどういう状態なのでしょうか。また、どのような病気が考えられるのでしょうか。今回はそのことについて説明したいと思います。

【心電図検査とは?】

心臓はポンプのように動いて血液を全身に送り出します。
検査では体に電極をつけ、心臓の筋肉に流れている電流を体の表面から記録します。心電図はグラフの線で表され、その上下の波のようになっているものはP 、Q、R、S、Tとそれぞれ名称があります。R波、T波、またQRS幅、PQ時間などと呼ばれるグラフ結果から検査結果がわかります。

【低電位とは?】

心電図でQRS波と呼ばれる波の高さが小さくなっていることを言います。
心臓の周り、胸壁に脂肪があったりして電位が低くなっている状態です。このとき心臓の電気的興奮が弱いまたは皮膚表面にその興奮が伝わりにくくなっています。
もう少し難しく言うと、
・心臓自体に問題があり、正常の超電力が発生しない
・心臓周辺組織の電導度の変化
・平均電気軸(心電図で見られるもの)の方向の変化
という状態が単独、または複数で生じています。

病気が考えられる場合と、心配がない場合があります。
低電位で考えられる病気を挙げてみます。
・心筋梗塞などで心臓の収縮力が弱っているとき
・体内の水分貯留(水分がたまる)、肺気腫など肺に含まれている空気が増加したとき
・甲状腺の病気などのとき

また、悪性腫瘍(がん)で心臓に影響がある場合も心電図で低電位となるようです。
末期がんであると極度の低電位がみられるようになります。
そして、低電位が急激に出現すると急速な心嚢液(しんのうえき)貯留を示します。

心配がない場合では、肥満で見られることがあります。
この場合、精密検査をさらに受けるように医師に言われなければ問題はありません。

【心電図の見方は難しい?】

健康な人でも心電図のQRS振り幅は、肢誘導・胸部誘導ともに性別、年齢によって異なります。ですが女性は男性に比べ値が低く、40歳以降の女性は低電位傾向があるようです。
そして水分貯留(水分がたまる)が起こることで発生する低電位が原因の疾患は様々で、水分貯留だからどの病気とは言えません。
心電図の診断はその人の性別、年齢、体型を考えた上で「なぜ低電位が現れたのか」、「そもそも病気などの異常なのか」、「考えられる病気は何か」をいろいろな面から考えなくてはならないのです。

【まとめ】

低電位は心電図に現れる現象の一つです。だからといって病気ではないこともあります。
心電図から読み取れるのは低電位以外にもたくさんあり、それを総合的に考えて医師は診断をします。

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