レーザーメスとの違いは何?電気メスについて

治療用機器

【はじめに】
同じメスでもレーザーの原理を応用して切開、蒸散などを行うレーザーメスと電流を金属製のメス先から放電して切開する電気メスはそもそも構造自体が異なります。
今回、電気メスの仕組みを簡単に紹介したいと思います。

【電気メスはどんな仕組みで作動するのか?】

電気メスは300KHzほどの高周波電流をメス先から人体へ放電することによって、切開行う医療機器になります。
電気メスは、構造上2種類の電極を組み合わせて使用します。

まず一つ目がモノポーラ電極と呼ばれるものです。
一本の細いメス先電極に、電気メス本体で発生させた高周波電流を流し、人体に接触させることで切開・凝固を行う仕組みのものです。このとき、発生させた電流は拡散電極と呼ばれるものを通して、本体へ回収されます。
次に、バイポーラ電極と呼ばれるものについて説明します。
この電極はピンセット構造の一方の電極から挟んだ人体部分に電流を流し、凝固作用を起こさせるものです。このとき、高周波電流は人体には流れず、1000~3000Vほどの電位差が電極間で行き来します。

【電気メスとレーザーメス、何が違う?】

電気メスのメス先で起こっていることはレーザーメスとは全く異なります。

レーザーメスの場合、レーザー光の熱エネルギーを利用して患部を焼灼、蒸散、凝固する原理となります。

一方電気メスの場合、切開という作用一つ取ってもジュール熱による蒸気爆発を利用して、細胞間をつないでいる組織を吹き飛ばすことで切開が可能となります。この時、密度の高い電流を人体に流し込むことで、メス先で熱エネルギーが発生し凝固や切開が行われます。
また、この原理は抵抗値を持った電熱線に電流を流し、熱を発生させるストーブの原理と似ています。
電気メスの場合には、人体との接触部分で発生するジュール熱によって、血液やタンパク分が固まります。これにより切開された部分から出た血も瞬時に凝固されるので患者への負担が小さく抑えられます。
ちなみに電気メスの場合出力される電力は、手術する箇所にもよりますが、大体30Wになります。細部の手術箇所に関しては、5~10Wほどの出力で行われることもあります。

【まとめ】

電気メスに利用されている高周波電流は数アンペアの大きな電流ですが、人体に流した場合低周波電流よりも感電しにくいという特徴があります。

ただし、高周波電流はノイズを発生しやすいというデメリットもありますので、電気メス使用の際には専門知識を持った工学士などが立ち会うこともあります。
電気メスの正しい使用法を確認しておくことをお勧めいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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