麻酔器の重要な始業点検について

治療用機器

はじめに

麻酔器は外科手術には欠かせない医療機器です。麻酔器には、薬物を使って神経を麻痺させ痛みを取り除く役割があります。
麻酔器には大きく分けて「局部麻酔」と「全身麻酔」があります。
特に全身麻酔においては、患者さんの意識をなくした状態で酸素を供給しつつ麻酔を行うため、始業時の点検は非常に重要です。
そこでこの記事では、麻酔器の始業時の点検についてご紹介していきたいと思います。

麻酔器始業時に点検する項目

特定保守管理医療機器に指定されている麻酔器は、定期的な点検と共に、全身麻酔時の患者さんの安全を最優先に考え、トラブルを避け事故を未然に防ぐために始業前の点検を積極的に行う必要があります。
2016年に改定された公益財団法人麻酔科学会によるガイドラインに基づいた点検は以下の11項目からなります。

・補助ボンベの内容量と流量計について
・補助ボンベと医療ガス配管設備による酸素供給圧低下時の亜酸化窒素遮断およびアラームのチェック
・医療ガス配管設備(中央配管)によるガス供給のチェック
・気化器のチェック
・酸素濃度計のチェック
・二酸化炭素吸収装置のチェック
・患者呼吸回路を組み立てる
・患者呼吸回路と麻酔器内配管のリークテストと酸素フラッシュ機能のチェック
・患者呼吸回路の用手換気時の動作チェック
・人工呼吸器とアラームチェック
以上11項目すべての点検が完了したことを確認し始業点検を終了します。

麻酔器始業点検の重要性

前項であげた始業点検項目で不具合が見つかる例としては「酸素濃度のズレ」「患者呼吸回路とバッグのリーク」「麻酔ガス排除装置の不具合」などがあります。
特に全身麻酔においては、患者さんは意識がなく痛みなどを感じない状態となりますので、手術前の始業点検には細心の注意を払い、正確に行っていくことが重要といえます。

まとめ

現在は麻酔なしの手術は考えられません。
麻酔を使用することで患者さんの不安と、手術による痛みを取り除くことが目的となります。繰り返しになりますが、麻酔を使用することで患者さんは意識をなくし呼吸を止め、筋肉を弛緩させ反射の抑制、さらに知覚や運動神経を麻痺させる働きをします。
そのため手術前の始業点検は、手術の安全確保やトラブル回避のために重要な役割を果たします。人の命にかかわる手術が安全に確実に行われるよう、麻酔器の始業点検はしっかりとガイドラインに沿って確実に行いましょう。

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