麻酔器の気化器の役割や取り扱い方について

治療用機器

はじめに

麻酔器の構成部品としては呼吸器回路や人工呼吸器、ガス排除装置等がありますが、その中でも吸入麻酔薬を気化し、患者さんが吸引できるようにする「気化器」は重要な役割を担っています。
今回は麻酔器の構成部である気化器の概要についてお伝えできればと思います。

気化器って何?

気化器の主な役割は、液体の麻酔薬を気体化し、この気体化されたものをガスと混合して濃度を調節することです。
また、大抵の麻酔薬は常温で気化することが多いため、気化器自体に温度調整するための電源や制御装置が装備されていないものもあります。

ただし、麻酔薬にはいろいろと種類があり、例えば揮発性吸入麻酔薬である「デスフルラン」の場合は、沸点(気化する温度)が22.8℃ほどで室温がこの温度より低い場合には自然気化しないこともあります。
このような場合には気化器に電源が付いたものの使用が推奨されています。

それから、室内温度で自然気化する場合でも気化器の主要部分の金属がうまく熱伝導できるもので、熱容量に耐えるものでないとうまく気化しないこともあります。
麻酔器を使用する際には室温等にも気を付けなければいけない所以と言えるでしょう。

気化器の取扱いや注意点

気化器は古くなった場合、麻酔器本体と分離して新しいものに買い替えることができます。ただし麻酔器と規格が異なっていたり、併用できないものも中にはあるので新しいものに取り替える場合には必ず事前確認しましょう。

また、気化器の中でもガスの濃度調整部分は最も劣化が進みやすい部位といえます。
摩耗やホコリ等の蓄積によって調整誤差が出る前に定期点検やメンテナンスを行っておくことが大切です。

さらに、麻酔薬の一種である「デスフルラン」用の気化器の場合、気化器自体に電気で温度調節する装置と圧力制御する装置を備えている必要があります。
「デスフルラン」用気化器を使用する際には、通常の気化器以上に備品交換や主要部分のチェックを入念にしなければいけないと知っておきましょう。

まとめ

医療の現場で使用することの多い麻酔器は冒頭でも少しお伝えしたように、流量計、吸気弁など様々から部品から構成されています。
各パーツごとに正しく作動するかチェックすることはもちろん大事ですが、気化器は特により精密に点検するべき部分になります。
例えば、一つの麻酔器に気化器が2つ以上装備されている場合には、調整ダイヤルが「同時に複数作動しないか?」など始業点検の段階でしっかり確認しなければいけません。
麻酔器を使うときは、点検もしっかり行い用法を守って正しく利用できるようにしましょう。

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