なかなか知らない、手術台の製造の話

治療用機器

はじめに

みなさんの中には手術を受けたことのある人がいるかもしれませんが、手術台についてあまりじっくりと見る機会は少ないですね。
今回は手術台の仕様や製造についてお話したいと思います。

どこが作っている?

医療機器業界においては、米国のジョンソン・エンド・ジョンソン、ゼネラル・エレクトリックなどが有名です。日本企業ではテルモ、東芝、オリンパスなどが多くのシェアを誇っていますが、手術台ではミズホが世界でトップクラスのシェアとなっています。

手術台のしくみ

手術台はテーブルトップ(患者さんが横たわるところ)にある支柱、基台からできています。
テーブルトップの上昇や下降、屈曲や伸展(曲げ伸ばし)などを電動油圧式、または電動でコントロールします。ベッドのような板状であるだけではなく、頭部や両足、または腰部分が動くようになっていて手術の目的に合うように動かすこともできます。
台のシーツは吸水・吸汗性で汗や血液などの体液、手術による薬液を吸収しいつでもさらっとした状態を保つようになっています。

また、用途に合わせイスのような座位からベッド形状になる眼科用のものや、整形外科用手術台など様々な種類があります。

手術台の歴史

ドイツのマッケ社によって1840年に開発された木製の手術台が世界初の外科用手術台と言われています。その後1902年には高さを油圧式により調節ができるような手術台が誕生しました。さらに1938年に頭部手術用手術台、1958年に電動モーター式手術台を開発します。
日本では第二次世界大戦後手術台は手動タイプのものでしたが、瑞穂医科工業(現在のミズホ)が1959年全油圧駆動式手術台を開発。その後も日本の手術台開発・販売をリードしていくことになります。

新しい時代の手術

これからは全自動の手術台でロボットが手術していく時代になっていくのかもしれません。
有名なものにアメリカで1990年代に開発され、1999年より臨床用機器として販売された手術支援ロボット「Da Vinci(ダ・ヴィンチ)」があります。
その名の通り、これは医師がロボットを操作して手術を行うものです。患者さんに開けた1~2cmの創に内視鏡とロボットアームを挿入して内視鏡手術を行うようになっています。日本では2000年、慶應義塾大学病院にアジアで初めて導入されています。

まとめ

内視鏡手術や手術支援ロボットなど新しい技術もどんどん開発されていますが、手術台に実際に横たわってみて、患者さんと医師にとってどのような手術台が望ましいかという研究も医療関係者の間では日々研究されています。
少しでも多くの人々が救われるような医療技術が確立していくことを期待したいものです。

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