レーザーメスの波長について

治療用機器

はじめに

通常手術などに使うメスは、鋭い刃で皮膚や肉を切開する医療器具として用いられています。
それに対しレーザーメスは、レーザー光を増幅させて医療用に開発されたもので、通常のメスや電気メスのように直接患部に触れることなく、患部の切開から出血したときの止血、水分の蒸発などさまざまな働きがあります。
この記事では、そんなレーザーメスの波長についてご紹介していきたいと思います。

レーザーメスの波長と色について

光の赤外線や紫外線、可視光線や電波は、電磁波の一種です。
光を電磁波として見た場合、電図に描かれる高くなっている山と山との距離や、低くなっている谷と谷の距離の長さを波長といいます。
それぞれの波長は赤外線が1000nmから10.1μm、紫外線が400nmから450nm、可視光線が450nmから1000nmとなります。

光の色については、波長の長さで決まり、太陽光線をプリズムに当てることで七色の光(赤・橙・黄色・緑・藍・紫)が生まれます。
特にレーザー光は、単一の光子があつまっているので、さらに純粋な単色光ということになります。

指向性集光性に優れたレーザー光

レーザー光はすべて平行に同じ方向へと向いており、指向性に優れているといえます。
平行な光を一点に集中できるので、集光性にも優れていることになります。
さらに高エネルギーであるレーザー光は毎秒10億回振動しており、超短時間で発振されるパルス発振によって、一時的に高出力のレーザー光を発振することが可能となります。

特定の色素への反応効果

医療用レーザーメスは単色光であることから、それ以外の色に吸収され反応させる特質があります。
この特質を利用して異常色素の細胞に対し、違う波長のレーザー光を当てれば、その目的の色素にのみに反応させ、ほかの色素に影響を与えずに破壊するということができます。

まとめ

レーザーメスでの治療は、生体組織に吸収されやすい波長のレーザー光を照射することにより、組織に吸収された光エネルギーが熱エネルギーに変換され、組織を破壊する現象を利用しています。
現在主流となっているレーザーメスとそれぞれの波長は、CO2レーザー(波長10.6μm)、Nd-YAGレーザー(1.06μm)、Arレーザー(488~514nm)です。

使用されるレーザーの発振される波長が異なることで、生体組織への影響も異なります。また光波長や強度を選択することで、切開・煮沸・止血ができるので、外科的治療において特に重宝されています。
さらなる研究開発と、患者への負担がほとんどない適切で有効な治療に役立てられることを期待します。

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