麻酔器の点検における酸素フラッシュ弁の注意事項
麻酔器を扱う前の始業点検としては、いろいろな注意事項において最新の注意を払って行われる必要があります。麻酔器を完全な状態にする事で、安全に使用する事ができるのです。麻酔器の点検における、酸素フラッシュの注意事項について紹介しましょう。
酸素フラッシュ弁とは
大流量 (35 ~75L/分) の酸素を、直接呼吸回路内へ供給する弁の事で、流量計や気化器を通さないで供給しています。ただし、この弁の使用には注意が必要です。その理由は、手術における麻酔中の使用で、大流量によるソーダライムを使用する場合において、患者の気管内に吹き込むような事態になれば、「chemical pneumonitis」と呼ばれる「化学性肺炎」になってしまう可能性があるからです。「酸素フラッシュ」の弁を使用する場合には、細心の注意を必要とするのです。
ソーダライムとは
「ソーダライム」は、水酸化カルシウムを主成分とした炭酸ガス、各種酸性ガス等の吸収剤として扱います。半導体で使用される場合の各種酸性ガスに対しては、吸着無害化しているのです。「ソーダ石灰」とも言います。
ガラス生産や二酸化炭素において、水の吸収材として利用されており、生石灰を水酸化ナトリウムの濃厚溶液にひたす事で熱乾燥して製造される物質です。強塩基性を示す白色粒状の固体の事です。
化学性肺炎とは
「chemical pneumonitis」とは「化学性肺炎」の事であり、刺激物の吸引や吸入によって引き起こされる肺の炎症の事をいいます。「化学性肺炎」を引き起こす可能性のある物質として、嘔吐物やバリウム、塩素ガス石油蒸留物や吸入剤などの使用によって、引き起こす場合があります。
リークテストにおける酸素フラッシュ
麻酔器のセルフチェックとして、次の行為を必要とします。
・APL(ポップオフ)バルブを40cmH2O以上に閉じて、酸素の分流を5~10分流す事で、呼吸器回路の内圧を30cmH₂Oにのせる事により、酸素供給を止めます。30秒間の間に、回路内圧低下の範囲が5cmH₂O 以内である事を確認します。
・APL弁(圧力を調節するポップオフバルブ)を開き回路内圧が低下する事で、 APLの圧設定と回路内圧が連動している事の確認ができます。
・酸素フラッシュを行い十分な流量であれば、閉鎖回路の5Lバッグが、約5秒間で20cmH₂O 以上の内圧で膨らむ事の確認を行います。
・CO2アブソーバーの接続確認を行います。
まとめ
患者の呼吸回路・麻酔器内配管のリークテストおよび酸素フラッシュ機能において、規定通りの確認をする事によって、麻酔器の使用や安全性を確保できるのです。