ファイバースコープの仕組みについて

治療用機器

「医療用ファイバースコープ」と聞いて、皆さんは何をイメージするでしょうか?また、ファイバースコープの仕組みはどうなっているのでしょうか?ここでは、「医療用ファイバースコープ」とはなにか?と「ファイバースコープ」の仕組みなどを説明していきたいと思います。

医療用ファイバースコープとは?

一般に内視鏡のことを指す用語で、人の身体の中を観察をするために使われます。柔らかい細いガラス繊維で出来ており、先端にレンズが取り付けてあるため、先端の向きを変えたりして人体内を比較的自由に見ることができます。

ファイバースコープの構造

ファイバースコープは先端部と操作部、接続部で構成されており、先端部の先には対物レンズが、操作部には接眼レンズが取り付けてあり、接眼レンズの方から覗くことにより体内の様子を見ることができます。

体内に入った対物レンズが汚れた場合は水を吹きかけレンズを綺麗にする装置も付いています。しかし、なぜ曲がりくねった体内の様子をレンズで見ることができるのでしょうか?

ここで、ファイバースコープに使われる光ファイバーの仕組みを説明しなければなりません。

光ファイバーの仕組み

もともと、光ファイバーが出来たきっかけは「光を思い通りの場所へ導く」という発想のもとに考案されたものでした。その媒体として、ガラス繊維を使ったものが光ファイバーです。

より効率的に光を導くために、1958年に石英グラスファイバーが開発されました。これは現在のグラスファイバーの原型になります。

ステップ型光ファイバー

最初に発明されたシンプルな方式の光ファイバーです。光ファイバーの構造は、中心にコア、その周りにグラッド、外側は被膜で覆われた形になります。

曲がった光ファイバーで光が届く仕組みとして、中心部のコア内に入った光は反射を繰り返し反対側に届くという仕組みでした。ところが、光の入射角度によって光の通る道筋が変わってくるため、光の伝播速度に違いが出てくるという欠点がありました。

自己収束型光ファイバー

ステップ型光ファイバーの欠点を改良したのが「自己収束型光ファイバー」です。
自己収束型光ファイバーでは、コアのガラス部分の屈折率を変えて、レンズのような効果を持たせています。これにより、光の入射角度による経路の違いを最小限に抑えることが可能になりました。

グラスファイバーの内視鏡分野での応用

曲がっているにも関わらず、光を端から端までそのまま伝えるグラスファイバーの特性を内視鏡に取り入れることで、医師らは直接胃の中を見ることが出来るようになりました。

写真を撮ることができるようになったのは、1964年のことです。これが「ファイバースコープ付き胃カメラ」です。これにより、より高度な質的診断が可能になりました。
1975年には「胃カメラ」の時代は終わり、完全に「ファイバースコープ」の時代に突入していきます。

まとめ

「ファイバースコープ」の時代に入り、その対象は「胃」のみにとどまらず「食道」「十二指腸」「大腸」「気管支」「胆道」などへ広がりました。内視鏡を使っての診断、治療が可能になったことで、内視鏡は、医療現場で確固たる地位を築きました。さらに、1990年代にはファイバースコープから、超小型撮像素子(CCD)をスコープ先端に配置したビデオスコープに世代交代が進んでいます。

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