痛みなく手術をおこなう麻酔器の構造

治療用機器

麻酔は薬物を神経に作用させ、一定時間痛みを感じない状態を作り出すために、外科手術などでは無くてはならない医療器具です。日本で麻酔器を使うようになったのは、第2次世界大戦後となるのですが、今ではだいぶ進歩しています。そのような麻酔器の構造はどのようになっているのでしょうか。

麻酔器の構造

全身麻酔は麻酔薬を用いて意識をなくし、痛みを感じなくさせる方法ですが、吸入麻酔薬(呼吸を通じて吸入する薬)や静脈麻酔薬(点滴からはいる薬)などを用います。いずれにしても全身麻酔の場合は、呼吸が弱くなるので必ず「麻酔器」を使い、必要な酸素を供給し管理しながら手術をする必要があります。

全身麻酔器の構造は、大きく分けて「ガス供給部」と「呼吸回路部」に分かれます。それぞれがどのような働きをするのかみてみましょう。

ガス供給部

気化した麻酔薬に、酸素・亜鉛化窒素(笑気ガス)などを混ぜて麻酔ガスを作り出します。気化をおこなうための気化器と、必要な量を測定する流線計という器具があり、手術中に麻酔薬の量を適正に計測して患者さんに供給するための部分です。

呼吸回路部

ガス供給部で作った麻酔ガスを循環させ、患者さんの呼吸を管理する部分となるのが、呼吸回路部です。患者さんに直接つけるマスクは、呼気弁、呼吸バッグや、余った麻酔ガスを排出するためのバルブ、二酸化炭素を吸収するためのカニスタ(キャニスター)と呼ばれる器具があります。

麻酔の作用

麻酔の主な要素は、鎮静、意識の消失(催眠)、体が動かなくなる(不動)、痛みの消失(痛覚消失)、麻酔中の記憶の消失です。麻酔の研究によって、これらの個別の効果がそれぞれどのように生じるのか、メカニズムが徐々に解明されつつあります。

麻酔の影響

麻酔をすることによる人体への影響は「循環器系」や「自律神経系」「呼吸器系」「尿量」「体温調整」など様々な箇所へ及ぶとされています。

麻酔薬には循環抑制作用のあるものや、施術に際して自律神経に影響がでたり、呼吸が浅くなったりするものがあります。

日本麻酔科学会がおこなった1999~2001年度麻酔関連偶発症例調査結果によると、麻酔が原因で死亡する割合は22万症例に1例。麻酔専門医が適切な管理下に全身麻酔をおこなえば、麻酔は極めて安全といえるでしょう。

まとめ

麻酔器には減圧されたガスの流量を調節する流量調節ノブ、ガスの流量を測定する流量計、麻酔薬を気化させる気化計、二酸化炭素吸収装置、酸素フラッシュ弁などがあります。麻酔器の主な機能を十分に把握し、安全な手術がおこなえるようサポートしたいものです。

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