麻酔器は始業点検を徹底して医療事故防止を!
手術に必要となる麻酔器は、機器が正常に作動するか事前にチェックをしておくことが大切です。点検作業を怠ることで、医療事故に繋がるケースもありますので、今回は麻酔器の始業点検について見ていきましょう。
麻酔器の始業点検項目
麻酔器は特定保守管理医療機器に指定されていることから、定期点検など保守管理が必要ですが、全身麻酔患者に対する安全性向上のためにも、積極的に始業点検をおこなうようにしましょう。点検項目は以下の通りとなります。
①補助ボンベ内容量および流量計
②補助ボンベによる酸素供給圧低下時の亜酸化窒素遮断機構およびアラームの点検
③医療ガス配管設備(中央配管)によるガス供給のチェック
④気化器のチェック
⑤酸素濃度計のチェック
⑥二酸化炭素吸収装置のチェック
⑦患者呼吸回路の組み立て
⑧患者呼吸回路、麻酔器内配管のリークテストおよび酸素フラッシュ機能のチェック
⑨患者呼吸回路の用手換気時の動作確認
⑩人工呼吸器とアラームのチェック
⑪各項目の点検完了のチェック
以上の項目をチェックし、異常がないことを確かめたうえで始業点検を終了します。不具合発見項目として多いのは、酸素濃度のズレ、患者呼吸回路およびバックのリーク、麻酔ガス排除装置の不具合となっています。
麻酔器を長期間使用しなかった場合
麻酔器は必ず始業点検をおこなうことが取扱説明書の「警告」にも記されていますが、そこには、長期に渡って使用していない機器を使用する際の事柄も記されています。
「長期間使用しなかった機器を使用するときは、内部部品の劣化等の可能性を考え、始業点検だけでなく、定期点検に相当する点検を実施すること」
と、なっていることから、長期間使用していない麻酔器を使用する際には、十分な時間を持って、相当の点検をおこなってください。
また、麻酔器の保守点検を実施することは、医療機関において当然おこなわなければならないことで、保守点検をおこなわなければ、機器の性能を適正に維持することができないばかりか、安全性を損ねるおそれもあります。
保守点検は、その業務を適正に実施できる能力を有するものに依頼し、安全を優先に取り組みましょう。
まとめ
手術をおこなう際、麻酔器は術中の管理はもとより、始業点検も極めて重要となります。麻酔を使用することで患者さんの筋肉は弛緩し、意識もなくすことになります。そのため、始業点検は徹底しておこなう必要があるのです。また、万が一の故障に備え保険に加入しておくことも考慮しておきたいものです。