ファイバースコープの洗浄方法
ファイバースコープの洗浄方法は、ガイドラインによって定められています。なぜ、ガイドランが作られたのか?を確認しながら見ていきましょう。
ガイドラインの背景と内容
ファイバースコープの消毒や洗浄についてのガイドラインが作られた背景は、1976年に消化器内視鏡からの感染事故から欧米において初めてガイドラインが作られました。内容は検査ごとに十分な用手洗浄と高水準消毒薬(グルタラール)を使用した消毒を行うことでした。
日本でも、グルタラールを使用した消毒が普及しましたが、この方法は時間がかかるために検査間は今まで通り用手洗浄のみとなっていました。しかし、1990年代に検査後の急性胃粘膜病変の原因がファイバースコープからの感染によるものと判明し、社会問題に発展しました。これに対し、日本消化器内視鏡学会や日本消化器内視技師会よってガイドラインがつくられました。
「ベッドサイドの洗浄」
この洗浄は、患者から機器を抜いた直後の洗浄のことです。まず、感染や薬剤を防ぐためにガウン・手袋・目や顔を守るための保護具をつけましょう。ファイバースコープは光源につなげたまま直ぐに洗浄をします。付着した汚染物質が乾燥して洗浄がやりにくくなります。
〇ファイバースコープの外側に付いた血液や粘液、汚物をガーゼや布でふき取ります。この時濡れていても乾いたものでもかまいません。
〇吸引チャンネルの中を洗います。水での洗浄は洗浄力が弱いため、酵素洗剤液を200ml吸引し洗浄します。ノズルなどのつまりの原因になるタンパク質の分解を考えると中性洗剤などよりも酵素洗剤が適しています。注意しなければならないのは、洗剤ではなくアルコールなどの消毒剤は有機物を凝固させてしまいますので使用しません。
〇チャンネル洗浄アダプターを付け、送気・送水チャンネルの両方を洗います。ノズルの詰まりと感染防御にとても有効です。
〇漏水テストには、専用のものや光源を利用するもの、自動洗浄機についているものなどがあります。まず、スコープを光源装置から取り出し防水キャップを確実に取り付けたあと、
各取扱い説明書に従って漏水テストをします。
「流し台での洗浄」
〇スコープ外表面の洗浄には、流し台にて温水を流しながら洗剤(酵素洗剤・中性洗剤)でスポンジ・ブラシ・ガーゼなどを使い汚れを落とします。また、操作部や挿入部、ユニバーサルコード部、コネクター部も洗います。レンズ面は専用の布で洗いましょう。
〇ボタン類の洗浄には、送気・送水ボタン、吸引ボタン鉗子栓などをスコープから取り外し
それぞれを洗います。特に鉗子栓は蓋を開けてブラシで洗浄のあと、十分にもみ洗いが必要です。
〇吸引・鉗子チャンネルのブラッシングには、流水下でも洗剤液の中でもどちらでも可能。
チャンネル掃除用のブラシでブラシが先端から出てくる度に、水道水でブラシをもみ洗いをします。吸引ボタンは取付け座から吸引口金まで、吸引ボタン取付け座から鉗子出口まで、鉗子挿入口から鉗子チャンネル分岐部までの3箇所をブラッシングします。
「スコープの侵漬」
〇侵漬洗浄には酵素洗浄液を使う場合、35~40度に加温すると高い洗浄効果が出ます。
その洗浄液にスコープを浸し全管路洗浄具を使いチャンネルの中を洗浄液で満たします。
〇洗浄液のすすぎには、外表面をすすぎ、チャンネルの中は全管路洗浄具を使い大量の水道水ですすぎます。
まとめ
ファイバースコープの洗浄について書いてきました。ガイドラインに従い基本的な洗浄を身に着けておくことが大切です。