人工呼吸器と麻酔器の働きによる違い

治療用機器

麻酔器の扱いでは、全身麻酔装置における仕組みにおいて、通常の人工呼吸器とは異なる働きがある事を理解しましょう。それには、通常の人工呼吸器の働きと、全身麻酔装置における人工呼吸器の働きの違いについて紹介します。

人工呼吸の働きは呼吸の補助から強制補助まで

病気などによって、自分自身の身体的能力ではうまく空気を取り込む事が出来ない時に、機器の助けを借りて、必要な措置を行う事です。

また、その種類も手動式であったり、機械式であったりします。自分自身でほとんど酸素吸入が行えない重篤の患者さんに対しては、強制的に自動式による人工呼吸器が利用されています。

人工呼吸器は、酸素を取り込む事と不必要な二酸化炭素を吐き出す事です。他にも、呼吸する為の筋肉が低下している場合にも、必要な空気が取り込めないので、補助的な役割としても、人工呼吸器の役割があるのです。

1.気管挿管による処置
緊急時や手術時において、気道確保する場合の対処法です。

2.気管切開による処置
空気を長期間に渡って取入れる為に喉の気管部分を切開して、空気の取入れを行う処置ですが、偶然に抜き取れる事故も多いので注意が欠かせません。

3.マスクによる処置
呼吸器とマスクが一体化しているので、簡単に取り付けと取り外しが可能です。患者自身の管理が簡単です。

全身麻酔の特徴と呼吸器

吸入麻酔薬であるセルフラボンを使って麻酔器で気化する事により、亜酸化窒素などのガスと共に吸収させる吸入麻酔薬の使用、麻酔の点滴によって静脈注射での方法があります。患者さんの状態を見ながら判断する事になりますが、術式によっても、吸入麻酔か静脈麻酔を選択するようになっています。

全身麻酔の目的

麻酔薬を摂取する事で痛みを取り除く事が第一であり、全身麻酔では意識を無くす状態を維持する場合もあります。麻酔による効果として筋肉を緩ませる状態にでき、手術に無意識に起こる副交感神経反射は手術の妨害になる場合があるので、それを止める効果もあります。

麻酔器の構造

全身麻酔においては呼吸機能の低下が起こるので、麻酔器の役割として呼吸回路部とガス供給部という2つによって、酸素の供給と管理を行って呼吸を維持していくのです。患者さんの吸気の役割と呼気の役割を管理して、換気を行うと共にガスを投与する役割を担うのが、「呼吸回路部」です。もう1つの「ガス供給部」は、酸素や麻酔薬と亜酸化窒素によるガスを、作り出して麻酔の効果を行っています。

半閉鎖式麻酔回路での二酸化炭素の排除

呼吸器では直接的に二酸化炭素を排出しますが、麻酔機器の場合では、呼気をそのまま吐き出すのではなく、再利用して吸入するガスとして使用します。揮発性麻酔ガスの有効利用する事と余剰麻酔ガスによる空気汚染を無くす事が可能になります。

しかし、このままの状態が続くと低酸素の状態となり、高二酸化炭素になると体への弊害がある為に、ソーダライムによる吸着材の使用によってそれらを防いでいます。

麻酔器ではより少ない量の新鮮ガスの流量によって、麻酔の状態を維持しているのです。通常の人工呼吸器と比べると、分時換気量分の空気や酸素ガスは少ない量でも事足りるのがわかります。

低流量麻酔の注意点

1.新鮮ガス酸素濃度と吸入酸素濃度は異なります。
2.麻酔ガス気化器設定値と呼気麻酔ガス濃度には差がある事です。
3.回路ボリューム維持の注意は、新鮮ガスの取り入れが少なくなると、わずかなガス漏れ(=回路リーク)が起こると、回路内のボリューム調整に大きな影響を引き起こすので最も注意が必要です。

まとめ

通常の人工呼吸器と全身麻酔における呼吸器の特徴や役割から、それぞれの機器が異なる事を十分に理解する事が重要といえるでしょう。

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