レーザーメスの原理とは?

治療用機器

医療の現場で手術などの使用されるレーザーメスですが、何となく光だということは理解しているが、なぜ光で人間の体を切除したり止血できたりできるのでしょうか?そう考えると何だか不思議です。レーザーメスの原理とは何か探っていきたいと思います。

レーザーメスの原理

レーザーの光は自然の光(太陽など)とは違い、人工的な光です。通常、太陽の光をプリズムに通すと七色に分かれますが、レーザーは1色だけです。この一色だけを取り出し、さらにパワーアップさせて放出させるとレーザーになるのです。

レーザーの意味

そもそもレーザーって何かというと、「放射や発光の誘導放出による光の増幅」という意味の造語の頭文字になります。その意味の中にある「誘導放出」が一色のパワーを集め、パワーアップさせ放出させる事をいいます。集める際に必要なエネルギー(媒質)としては、化学反応であったり、半導体内の電子の流れなどになります。

光の違い

普通の光(太陽や蛍光灯など)とレーザーで、光の性質が異なります。その違いとは何でしょうか。

〇「単色性」とは
光が単一波長であること。つまり、太陽などの光はいろいろな色が含まれているが、レーザーは1つの色しか含まれていないということです。

〇「指向性」とは
普通の光はランダムに波長が放射されているので、光の元から離れるに従って光は広がり暗くなります(光の方向が拡散している)。

例えば、部屋の蛍光灯などはそれぞれの波長があちらこちらに進んでいくので、部屋全体が明るくなるわけです。しかし、レーザーは1つの波長しかないので、進む方向も1つになる(1か所に集められる)のです。

〇「位相」とは
例えば、波線を思い浮かべ下さい。波線の高さや幅のことを意味します。普通の光には様々な色が含まれているため、その色によって波の高さや幅が異なります。この状態は、「位相がずれている」状態です。

この場合、どんなに光をパワーアップさせても強いエネルギーは生まれません。しかし、レーザーは1つの色(1つの波長)しかないので「位相が一致」の状態になるので、パワーアップすることで強いエネルギーが生まれます。

媒質の種類

外部からエネルギーを受けると、特定の波長だけを放出する元素や分子の材料のことを「媒質」といいます。

【半導体レーザー】
ダイオードレーザーとも言われます。

【気体レーザー】
CO2レーザー・He-Neレーザー・アルゴンレーザー・エキシマレーザーなど

【個体レーザー】
ルビーレーザー・ガラスレーザー・YAGレーザーなど

【液体レーザー】
ダイレーザーとも言われます。

エネルギーの作用とは

〇高いエネルギーの作用
レーザーの光が吸収され熱に変換されと、体の組織は「凝固→炭化→気化→蒸散」します。この作用を利用して、組織の切開や切除などが行われます。

〇低いエネルギーの作用
組織の凝固や蒸散をする熱効果はありませんが、組織の賦活や免疫力の向上・神経活動の抑制・血流の増加などが行えます。

まとめ

レーザーメスの原理ついて書いてきました。医療現場では様々なレーザー装置や使用方法がありますが、手術の際にはなるべく傷跡が残らず痛みがないほうがいいですよね。これからもレーザーメスの益々の進歩が期待されます。

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