医療に光を放ったファイバースコープ
「医療」の現場は、常に研究、開発により進化をしています。そのひとつとなったのがファイバースコープの存在でした。では、ファイバースコープの原理、構成、ファイバースコープの登場から今について見ていきましょう。
医療用ファイバースコープの原理
医療用ファイバースコープはもともと通信ケーブルなどに用いられていた「石英ファイバー」に対して、レーザーを伝達する技術が可能になったことがきっかけで、人体用として応用されるようになりました。
ガラス繊維の光学特性(ファイバー・オプティックス)と自由に曲がる特性を利用し、本来は観察不可能な箇所を見るのに用いられるファイバースコープは、細いガラス繊維を多数束ねたものです。
両端におけるファイバー束の配列を同じにすれば、光学像を伝送することができ、種々の内視鏡や検査に応用されました。
医療用ファイバースコープの構成
ファイバースコープ本体の構成は、中心にコアと呼ばれる部分、その周りにはグラッドと呼ばれる箇所があります。それらをプラスティックプライマリコートという被膜で覆って、構成されています。また、ファイバースコープの一端にはレンズがついていることが一般的で、その反対側についているアイピースで覗くことによって患部の内視が可能となります。
医療用における内視鏡の分類
ファイバースコープをはじめとする軟性内視鏡は、内視鏡検査においてよく用いられる機器ですが、硬性内視鏡やカプセルも内視鏡に含まれます。
〇硬性鏡:筒の両端にレンズがついたシンプルな構造のものです。
〇軟性鏡:ファイバースコープ、電子内視鏡がこちらに分類されます。従来は光ファイバーを使用したファイバースコープが主流でしたが、現在はCCD(超小型撮像素子)を内蔵した電子スープ(ビデオスコープ)が普及しています。
〇カプセル型:カプセル内視鏡と呼ばれ、デジタルカメラと光源、モーターを内蔵した小型カプセル型のもので、患者が飲み込んだ内視鏡が消化器官を撮影し、画像を体外に送信して体外のモニターで見ることができます。
胃カメラからファイバースコープそしてビデオスコープへ
ファイバースコープによる胃内視鏡診断の進歩として、何といっても検査が簡単になり、盲点なく明るい条件で観察できるようになったことでしょう。患者に与える苦痛は、胃カメラ検査に比べはるかに少なくなり、また長時間の観察が可能になりました。
しかし、グラスファイバーによる内視鏡検査も技術の進歩により、徐々に減少していくようになります。グラスファイバーは胃カメラから内視鏡へと大きな飛躍を促しましたが、ひとつのファインダーから覗くため、ひとりの医師だけしか観察することができませんでした。
その後、技術がさらに進化すると、スコープ先端にCCDを備えた内視鏡が開発されます。これがビデオスコープです。胃内を映し出した映像を電気信号に変えて、その信号を外の機械に送り出し画像信号に変換をしてモニターに映すため、複数の医師や医療従事者が同時に見ることができるようになったのです。そのため、現在の医療の現場ではビデオスコープが主流となっています。
まとめ
ファイバースコープの出現をもって、長い歴史をもつ内視鏡検査はついに診断器としての目的地に達します。ファイバースコープの存在をもって、医療の現場で少数の胃カメラ専門家のみに理解されていたにすぎない時代から、万人が内視鏡検査ができる時代まで引き上げることができるようになったのです。