人工呼吸器の換気モード種類

治療用機器

人工呼吸器とは、その名の通り「人工的に呼吸をさせるための装置」です。何らかの原因により、自分で十分な呼吸をすることが難しくなってしまった患者さんに適用されることから、呼吸器病棟やICUに所属していないとなかなか経験することもないでしょう。今回は、知っておくと安心な人工呼吸器の換気モード種類をご説明します。

人工呼吸器のモードとは

患者さんの呼吸をどのように補助するかを決める設定のことを「モード」といいます。各種の換気モードの基本となる「量規定換気」と「圧規定換気」について、知ることからスタートしましょう。

量規定換気

●VC(Volume Control):ボリュームコントロール
量規定換気とは一回換気量と吸気流速を設定して、管理する方法です。このモードでは一定の換気量を保つことができるため、管理しやすいというメリットがあります。

ただし、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺線維症、間質性肺炎など、肺の繊維化によって肺が硬くなっているなど、肺のコンプライアンスが低下している場合などは危険性があります。

圧規定換気

●PC(Pressure Control):プレッシャーコントロール
肺胞や気管支に均等な圧力をかけて換気するため、不均等換気を是正することができます。また、自発呼吸への同調も優れています。もう一つのメリットは、少しの回路リーク、カフ漏れが生じても一回換気量は保たれます。

デメリットもあり、挿管チューブの折れや閉塞が生じると換気量が減少することや、無気肺や痰詰まりで換気量が減少してしまいます。

モードの種類

モードは機種によって呼び名が違いますが、臨床的には使用する基本的なモードがあります。以下では、基本的なモードについて説明しましょう。

A/C:補助/調節換気

自発呼吸がなくても呼吸が保証されるので、確実な呼吸管理が必要なときや、急性期で治療を優先するために肺の仕事量を軽減したいときにも使用されます。一定時間内に自発呼吸があった場合は、患者さんの吸気に同調するように補助換気します。

SIMV:同期的間欠的強制換気

SIMVは自発呼吸だけでは十分な換気が得られない場合に主に使用する換気モードです。強制換気と自発換気を組み合わせ、設定した回数だけ補助呼吸がおこなわれます。設定回数以上の吸気は患者さん自身によっておこなわれます。

CPAP:持続陽圧換気

患者さんの自発呼吸に呼気終末陽圧(PEEP)を付加したモードで、自発呼吸のない患者さんには使用できません。CPAPでは多くの場合、PSを追加し自発呼吸をサポートするので、離脱の前段階として用いることが多いです。

まとめ

初めは何から理解したらいいのかわからない人工呼吸器ですが、3つの基本の換気モードを理解すると取り組みやすいでしょう。

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