人工呼吸器 (NPPV) 施行中の観察項目

治療用機器

人工呼吸法の1つであるNPPV (非侵襲的 陽圧呼吸法) は、気管挿入や気管切開などの侵襲的処置をおこなわず、マスクを装着することで、一定の圧力や空気量を肺に送る人工呼吸法ですが、さまざまな項目について綿密な観察をおこなわなければなりません。

人工呼吸器(NPPV)が適応となる条件

NPPVが適応となる条件としては、何よりも自発呼吸ができることです。その他にもさまざまな条件が存在しますので、こちらでは、適応となる条件を見ていきましょう。

〇意識が良好で患者が協力的である
〇自発呼吸が可能、循環動態が安定している
〇気道が確保できており喀痰の排出ができる
〇消化管が閉塞などなく、活動している
〇気道分泌物がコントロールできる
〇顔面の外傷がなくマスク着用が可能である

これらは開始時に適応となる条件で、NPPVが施されている際、病状が悪化したり、症状が軽減されない、新たな合併症が発現するなどの状態になると、IPPVに移行することもあります。

NPPV施行中の観察項目

患者の「呼吸状態」「循環状態」「意識レベル」「消化器症状」などの観察では、何かしらの異常があれば機器側でアラームが発せられますが、その状態になるまで以下のような観察をすることにより瞬時に対応することができます。

〇呼吸音 〇呼吸回数 〇呼吸パターン 〇呼吸困難感 〇補助呼吸筋の動き 〇胸郭の動き 〇NPPVと患者の同調性 〇気道分泌物の量・喀痰状況 〇SPO2 〇血液ガスデータ
〇1回換気量・分時換気量 〇気道内圧 〇リーク量 〇安全弁(呼気ポート)の開閉 〇意識レベル 〇ECGや血圧などの循環動態 〇グラフィックモニター 〇NPPVの合併症の有無

これら観察項目はNPPVに限った項目になるので、原疾患に関する観察も忘れないように注意してください。

その他の観察項目としては、NPPVの設定において本体周辺及び水回り、設定、アラーム設定、患者数値の観察も必要となります。

〇呼吸器からの異常音・異臭 〇コンセントの接続(非常回線) 〇回路の接続(破損、ゆるみ、外れ) 〇バクテリアフィルターの状態 〇ジャクソンリース回路など

〇ウォータートラップの水の排出 〇回路内の水の除去 〇加湿器の水の補充
 
〇モード 〇IPAP 〇EPAP 〇呼吸回数 〇呼気時間 〇ライズタイム 〇加湿器温度 〇酸素濃度

〇気道内圧上限 〇気道内圧下限 〇無呼吸(秒) 〇分時換気量下限 〇無呼吸回数 〇呼吸回数下限

〇IPAP 〇EPAP 〇呼吸回数 〇一回換気量 〇分時換気量 〇リーク量 〇バイタルサイン 〇SPO2(%) 〇血液ガスデータ(安定または改善まで、繰り返しチェック) 〇経皮的CO2モニター(特に重症例に対して用いる)

まとめ

NPPVは自発呼吸ができる患者に対して、即時対応ができるのですが、患者の協力がなくてはできず、看護量も多いのが特徴です。それ故、看護師はNPPVをおこなう患者に対して適切な観察と、より良い看護をおこなわなければなりません。

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