人工呼吸器の名称別トラブル例と対策

治療用機器

人工呼吸器を必要とする人は、自発的に呼吸ができない、酸素をうまく取り入れることができないなど、呼吸の助けとなる装置が無いと生き続けることができません。そのような生命を維持するための機械を操作するからには、トラブルに備えて対策を講じる必要があります。こちらでは、人工呼吸器の名称別トラブル例と対策を説明します。

人工呼吸器名称別トラブル例と対策

人工呼吸器は、駆動源・酸素ブレンダ・人工呼吸器本体・呼吸回路の4つから構成されます。それぞれについてトラブル例と対処法を解説していきます。

駆動源

トラブル例として、配管からの水の発生、ガス供給圧の不足や過剰が見られた場合等、どのような対策やチェックポイントがあるのでしょうか。

〇定期的にフィルタの汚れを点検、清掃
〇本体ガス入力部のウォータートラップに水が溜まっていなことを確認
〇ガス供給圧力を点検
〇耐圧ホースの接続を確認
〇配管は水分や埃の混入に注意
〇コンプレッサは加熱に注意
〇タービンはファンフィルタの埃に注意

酸素ブレンダ

精度不良がトラブル例として挙げられます。

〇定期的に吸入酸素濃度を実測し、設定値と一致することを点検
〇酸素と圧縮空気の供給圧差を無くす

人工呼吸器本体

換気機能やアラーム機能の作動不良がトラブル例として挙げられます。

〇使用前のチェック、定期保守点検(作動確認・点検・調整・消耗品交換など)を実施
〇設定値(酸素濃度・上限圧・換気量・呼吸回数など)が適正であることを確認、再評価
〇適切なアラームレベルを設定
〇アラームが「ON」であることを確認
〇目視、生体情報モニタ(パルスオキシメータ、呼気CO2モニタ、血圧計、心電図)、換気量計や聴診器などにより、患者の状態を常に観察
〇フローセンサに水が溜まっていないこと、ネブライザによる薬剤がついていないことを点検
〇電源コンセントはコンプレッサとは別電源に切り替え取り付け箇所が正しいかを点検
〇回路交換や万一の故障、災害に備えアンバッグを準備

呼吸回路

トラブル事例として、リーク(チャンバの破損、ウォータートラップやネブライザ位からの漏れ、蛇管の破損)、回路内の結露、加温加湿器(滅菌蒸留水)の補充不足による気道の乾燥が挙げられます。

〇リークテストを実施
〇呼吸回路の接続を再確認
〇患者の顔や手足の色(チアノーゼ)、胸の動き、呼吸音(左右)を観察・聴診
〇加温加湿器チャンバに破損の無いことを点検
〇気道内圧が適正な範囲に入っていることを点検
〇呼気換気量が設定位置に近似していることを点検
〇気道内圧測定チューブ中に水が無いことを点検
〇ウォータートラップ内の水を排水
〇吸引時に痰の粘調度を点検
〇吸入ガス温度が適切であることを測定
〇加温加湿器チャンバが温かいことを点検
〇温度計、温度プローブが吸気側に入っていることを確認
〇感染防止のため、呼吸回路やフィルタを定期交換
〇人工鼻はメーカーの指定に従い交換

まとめ

これらの記載内容は全ての機種に共通するものではなく、一般的な内容となっています。機種によって他にも取扱いに関して対策を講じる場合がありますので、それぞれの取扱い説明書などをしっかり把握した上で使用するようにしましょう。

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