手術台にかかせない手術用照明灯
手術室などで使用される照明に使われているもので、「無影灯・むえいとう」があります。医療の現場に欠かせないものの1つです。この無影灯、以前は「ハロゲン光源」のものが使用されていましたが、昨今ではLEDが普及しています。今回はこの「無影灯」について、みていきましょう。
LED照明の利点
手術室の照明環境は、天井に設置された間接照明と直接手元を照らす「無影灯」が使用されています。白熱電球や蛍光灯に比べて、光源寿命が優れていると言われているLEDを用いることで、電球交換などのランニングコストを削減することが可能となります。
LED光源を使用することで、ハロゲン光源のものよりもさらに適した、「照度」(明るさの度合い / 物理量)や「無影性」を確保できるようになります。
手術用照明・無影灯
この照明機器「無影灯」は、手術の際に術野に影響を生じさせないよう、手元に対して影ができにくい作りになっています。それによって、あらゆる手術において術野をクリアにし手元を視認できるように設計されています。
手術用照明灯の灯数が5灯の場合、1か所が遮られても他の4灯がカバーすることで影ができにくくなります。
さらに、照射する対象に対して熱を与えないよう※「放熱機構」が備えられています。手術時には、医師などの手元が暗くならないように術部などに配慮して動かし、明るさや向きを調整していきます。そのため、照明機器に重要なのは明るさや操作性なのです。
※照明器具の温度が上がることで熱がこもりやすくなります。そのため、放熱機構(ヒートシンク)によって、熱を対流や伝導で逃がすようにすることで温度の上昇を抑えます。
その他の機能
照明は多関節のアームによって立体的に稼働するので、手術によって医師の要求に応じ、位置を上下左右すばやく動かすことができ光の位置を調整することが可能です。装着型の無影灯もあり、より患者さんの近くから照射することができます。
その他、HDカメラを搭載しているものもあります。それによって、手術を記録しリスクマネジメントに役立て、共有などすることができるようになります。
まとめ
照明が強すぎると周辺の光の反射によって、手元が見えにくくなってしまうことがあります。目的としている部分だけではなく、その周辺も広がって照らしてしまうためです。手術用照明灯はそのような問題点を解決し、LED化することによりランプの寿命がながくなり、電球交換などの手間や消費電力が抑えられ、ランニングコストの削減も可能となります。