血圧計を多剤耐性菌やウイルスから守る消毒について
感染予防のためには消毒を行うことは欠かせません。ここでは、血圧計のカフ(マンシェット)におけるVRE、MRSAや新型コロナウイルスなど感染症予防のために必要な消毒について語っていきます。
患者さんごとの消毒が必要
患者さんの血管内に挿入される器具などのクリティカルなものに対し、健常な皮膚と接触する血圧計のマンシェットは、ノンクリティカル器具に分類されます。一般的に感染の拡散には関与しませんが、新型コロナウイルス感染症など、接触予防策をすることにおいてはノンクリティカル器具についても使い捨てのものにするか、それぞれの患者さんに専用のものを用いることが望ましいとされています。
ただし、複数の患者さんで共用しなければならないケースにおいては、他の患者さんが使用する前に中水準消毒を行う必要があります。特に、VRE、MRSAなどの多剤耐性菌による感染または保菌が判明している場合、新型コロナウイルスが付着している可能性があれば、次亜塩素酸ナトリウムやアルコールなどの消毒薬で消毒する必要があります。
MRSAやMDRPなどの多剤耐性菌汚染の可能性があれば、ベンザルコニウム塩化物などといった低水準消毒薬を使用します。また、新型コロナウイルス、ノロウイルスやアデノウイルスなどのウイルスが付着している恐れがある場合には、次亜塩素酸ナトリウムやアルコールなどの中水準消毒薬で対応してください。
血圧計のカフ(マンシェット)を共用する場合には、患者さんごとに消毒が必要になってきます。マンシェットの表面を消毒する場合には、通常以下のような消毒薬で30分間浸み込ませて消毒するか、清拭していきます。
・熱水(80℃10分間)
・0.1~0.2%ベンザルコニウム塩化物液
・0.1~0.2%ベンゼトニウム塩化物液
・0.1~0.2%アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩液
・アルコール系消毒薬(70%イソプロパノール、イソプロパノール添加エタノール液、消毒用エタノール)
・200~1,000ppm次亜塩素酸ナトリウム液
基本は手指の消毒
重要なことは、「手指を介した感染経路」ですので、医療スタッフにとどまらず、患者さんや面会者の手指消毒の徹底が必要になってきます。患者さんや面会者の手指消毒が不十分なケースが多いため、このパートが適切でないと、どんなに器材を患者さん専用に用いたとしても感染対策は成功しません。必ず守るべきポイントは、医療スタッフ、患者さん、面会者の手指消毒ということになるでしょう。
まとめ
感染予防の見地に立った場合、血圧計のマンシェットは出来るのであればそれぞれの患者さん専用にすることが望ましいです。共有とする場合は、都度消毒作業をしなければなりません。しかし、一番重要なことは医療スタッフ、患者さん、面会者の手指消毒です。正しく利用して事故のないよう努めたいものです。