カプノグラフィモニターの見方について。麻酔器管理にも重要
カプノグラフィはICU(集中治療室)や手術室において麻酔器管理や人工呼吸器を装着されている患者様の呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)を測定・モニタリングする機器です。
○呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)とは?
肺胞に出された二酸化炭素(CO2)は呼気により体外に呼出されます。
呼気の初期に排出されるのは死腔(口腔や鼻腔,咽喉頭腔、気管や気管支などのガス交換には関与しない部分の空間のこと)内にあるガスが排出されるためCO2は排出されませんが、すぐにCO2の排出量が上昇して濃度が高くなり、その後は緩やかに濃度が上昇していきます。
呼気が終わって吸気へ移行するとCO2濃度は急激に低下します。
この呼気によるCO2濃度が最も高い数値を呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)といいます。
このPETCO2は、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)とほぼ同じ数値になっており(健常人ではPETCO2はPaCO2より2〜5mmHg低い)、PaCO2の値は換気の状態を把握する目安となるため、麻酔器や人工呼吸器を装着されている患者様の測定やモニタリングに用いられます。
○カプノグラフィとは?
カプノグラフィは呼気や吸気に含まれるCO2の分圧を測定する機器です。
人工呼吸器・麻酔器管理下では気管チューブと人工呼吸器回路の間にサンプリングアダプタやセンサを装着して測定・モニタリングをします。
自発呼吸が可能な方にはカプノメータと呼ばれる非挿管者用のセンサを装着して測定・モニタリングをすることも可能です。
○カプノグラフィのモニタと波形の見方
カプノグラフィのモニタには波形が表示されます。
この波形は4つの相に分類されます。
以下は健常者の各相における波形の変化ですが、異常があればこの波形に何らかの変化が現れます。
例えば、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患があると平坦であるはずの第Ⅲ相の波形が急激に上昇する波形となります。
・第0相…吸気相を表します。CO2分圧は「0」を示します。
・第Ⅰ相…呼気基線相を表します。
呼気の初期段階で死腔からのガス排出となるためCO2はほとんど排出されません。
・第Ⅱ相…呼気上昇相を表します。
死腔〜肺胞移行部からの排出で、波形が急上昇します。
・第Ⅲ相…呼気平坦相表します。肺胞内のCO2排出でCO2分圧はプラトーに達します。
波形は平坦ですが、血液から持続的にCO2が拡散されてCO2分圧が上昇するため、健常者でもわずかに波形が上昇します。