医療現場に欠かせないレーザーメスの種類
レーザー光の強力なエネルギーを利用して生体組織を切開する、あるいは組織や血液の凝固をおこなうレーザーメスは、各種疾患の治療に利用されています。レーザーメスは術後の出血も少なく、術後の腫れ、痛みも少ないことから、多くの医療現場で使用されています。そのようなレーザーメスの種類をみていきましょう。
メスの発展
メスというと金属製の小型のナイフを連想される方もいらっしゃるでしょう。しかし、メスは金属のメスから電気メス、レーザーメスへと進歩しています。
ナイフのようなメスは切開するだけのもので、鉗子などで止血をする作業が必要でしたが、電気メスだと細い血管なら鉗子は必要ありませんでした。熱の力で血液のタンパク質を変化させ固めて止血するというのが電気メスの特徴です。
その後レーザーメスが開発されるのですが、レーザー光は非常に小さな「点」で組織をミリ単位で焼灼することができ、電気メスでは困難だった精密な操作が可能です。また、細かい場所を選択的に焼灼できることにより、ピンポイントに強力な熱を与えることによって、きめ細かい凸凹や皮膚の隆起などを狭い部位に焼灼できるようになったのです。
レーザーメスの種類
こちらでは、レーザーメスの種類をご紹介します。
◆CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)
医療に用いられるレーザーで代表的なものがCO2レーザーです。臨床で用いるCO2レーザーの高出力がもたらす熱圧力効果によって、組織中にある水分を揮発させ、病変組織を切除します。
しみ、血管腫、皮膚がん、胃の切除、心血管手術や口腔がん、口腔粘膜疾患など幅広い分野で使用されます。
◆半導体レーザー
電流を注入することで発生した光が、2枚の鏡で往復する間に増えることでレーザー発振に至ります。
半導体レーザーでも高出力になると、止血効果が高まり切除手術に用いられます。代表的なものは前立腺切除術や寛容切除術などがあります。低出力の半導体レーザーでは、皮膚炎の治療、傷口の癒合、鎮痛が主な臨床となります。
◆エキシマレーザー
エキシマレーザーは、強力な紫外線を発生させることができます。他のレーザー装置では紫外線を発生させることは難しく、独特のメリットを有しています。主にレーザー血管形成術、中枢神経系の病巣切除、屈折矯正角膜形成術などに用いられます。
◆ルビーレーザー
ルビーレーザーは当初眼科で採用されていましたが、後に色素レーザーアルゴンレーザーなどがレーザーにおいて主流となります。高出力のルビーレーザーは、主に刺青の除去に用いられています。また、膀胱、肺、消化管などの内部にある腫瘍、声帯病変等の治療にも採用できます。
◆Nd:YAGレーザー
イットリウム・ガーネット・アルミニウムの3種類からなる結晶(YAG)にイオンのネオジム(Nd)を混合したものを媒体にしています。水分では吸収が少なくなることから、深部組織の治療に適しています。
まとめ
現在、アメリカを始めとする諸外国では医療レーザーが様々な分野で活用されています。その中でもレーザーメスの存在は臨床において無くてはならない存在となっています。これからのレーザー治療発展のためにも、正しい知識の普及と技術の向上が必要となります。