手術台に設置するマットレスの選び方と管理方法

治療用機器

手術が始まると、横たわった状態の患者に負担がかかっても動かす術がありません。そのため、手術用マットレスの選択は慎重に行う必要があります。今回は手術用マットレスの選び方と管理・清掃方法について考えていきます。

手術用のマットレスの特徴

手術に使われるマットレスはメーカーにより大きさと固定方法が違うため、手術台とマットレスはメーカーを統一することで安定した運用が行えます。マット素材は軟質ウレタンフォーム・ポリウレタン・ナイロン樹脂などが使用されており、汚れや体液を即急に拭き取ることが可能です。

手術用マットレスに求められる機能

手術用のマットレスに特に求められる機能は、褥瘡(じょくそう)の防止です。褥瘡(床ずれ)の状態が続くと、体の一部が常に圧迫され爛れやできものが発生し、最悪、腐敗や穴が開く原因につながります。

褥瘡の予防は、マットレスと体の接触圧力を分散させることです。骨突出部分は圧が非常にかかる場所であり、圧管理ができるマットレスで適切に体圧分散を行うことが求められます。圧力による底付きが起きている個所はマットレスの下に指を入れ、中指か人差し指を曲げることで骨突出部分を見極めることができます。

保管と清掃方法

手術中は睡眠時と違い寝返りなどができないため、破損点検は処置前後と定期的に行うことが重要です。

急激な温度変化・湿度上昇が起こると、回数を重ねるにつれ変質・変形が起こります。変形や劣化を避けるためには、高温多湿を避け、水分の少ない場所を保管場所にしましょう。

手術を行う際に、血液など患者の体液が飛び散ることがありますが、素早く清掃できるようなマットが必要になります。防水性マットレスは、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムでの清拭を行います。消毒液に非耐性の場合は、両性界面活性剤を使用します。殺菌のため消毒液に浸す場合も短時間で行うようにしましょう。

非防水性の場合は、エタノール清拭を行いづらいため、できるだけディスポーザブルの防水シーツを使用し、体液が付着してしまった場合は丸洗いが必要になります。

破損・劣化・消耗といった異常が見られた場合は、使用期間が短い場合でもメーカーへの修理依頼、または交換を行ってください。

取り換えの時期としては、機器の経年劣化により品質が維持できなくなる指標であり、この期間を参考にしながらも、日々の点検で使用可能かどうかを判断することが重要なので、買い替えを検討するとよいでしょう。

まとめ

手術を円滑かつ安全に執り行うには、床ずれの三大要因である「圧力・ずれ力・湿潤」という問題をいかに解決するかが重要です。手術用のマットレスは、圧力分散と通気性・水はけに優れた素材の製品から選択、適切な管理方法で運用し、劣化が進んだ製品は早めに交換するようにしましょう。

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