手術台とライトの関係性による「無影灯」の使用
手術台の役割は、手術をする際に患者さんの固定をする事です。その為、安全性を確保し、手術の種類に応じて手術台を選ぶ事になります。手術室におけるライトは、部屋全体を見やすくする照明の役割をしています。手術台とライトの関係性による「無影灯」の使用について紹介しましょう。
手術に必要とされる照明とは
患者の手術を行う場所では、明るすぎると眩しくなり、暗すぎると作業ができなくなってしまいます。長時間に及ぶ手術も多いので、手術室に求められる照明の基準には「明るさ」や「眩しくない事」「調光」や「操作性」と「色の見えやすさ」が必要とされています。特に重要視されているのが、色のみえやすさと操作性です。
演色性とは、物体の色の見え方に及ぼす光源の性質を表しており、色の見え方の事を指していて同じものでも見え方が異なる場合があるので、蛍光灯をLEDに変える事で、高効率化と、高演色性がある程度改善される事になります。
無影灯とはどのようなライト
患者の手術創傷面に対してはできるだけ影を作らないようにした照明の事で、適切な光色の照明と熱を発しないライトを使用する事が望ましいのです。手術台における対象物は患者や執刀医などが、手術中においてライトの当たり具合で影になる場合があるので、出来る限り影を作り出さないようにしたライトが無影灯の役割です。
また手術台上の照明が患者や執刀医に照射する部分に対して熱を持たないようにする事で、手術の妨げにならないようにしているのです。照射する対象の見え方としては、本来の色になるように演色性が求められています。
手術におけるライトの種類
手術の妨げとなる熱量や見え方をより自然に近づける為に、ライトの選び方も重要です。
1.LED化される無影灯
今までの無影灯は「手術灯」としてハロゲンの白熱灯を使用する事で自然光を求めていましたが、ライト寿命の引き延ばしや、ライトが発する熱による問題を解決する方法として、LEDの無影灯が取って代わるようになったのです。
それにより、消費電力を抑える事と、熱量の軽減や寿命の引き延ばしができるようになり、手術室における環境にマッチした照明器具となったのです。性能基準には、照度100000lx(10万ルクス)以上、演色性評価95以上をクリアする事が可能になりました。
2.ウェアラブル手術用照明
装着型の無影灯で、従来の照明が上からであったのに対して、対象物である患者の近くから光をあてる事ができ、その上、低反射なので目の中に眩しい光が入る事がない設計として利便性に優れています。
照度145000lxの高照度の場合には、高演色に優れているので、血液の色までもくっきりと認識できるようになっています。
まとめ
手術台に光を照射する無影灯は、その必要性に応じて進化をしていく事になるでしょう。今後は、ウェアラブル手術用照明のライトがたくさん広まる事によって、長時間の手術でも目が疲れる事もなく安全な視野を確保する事ができるようになってきます。