手術台をシェアする際の清掃と消毒の重要性

治療用機器

手術台は、状況によっては患者から別の患者へと連続した運用が必要になります。手術台のシェアを行う上で、一番注意しなければならないのは感染症対策です。昨今の新型コロナウイルスの影響から、医療現場には、感染症に対する非常にシビアな取り組みが求められており、徹底した清掃や消毒の取り組みを行わなければなりません。今回は手術台をシェアするにあたっての清掃・消毒についてお伝えします。

手術台の歴史

世界で手術台を主に製造しているメーカーはジョンソン・エンド・ジョンソン、テルモ、ゼネラル・エレクトリック、東芝、オリンパスなどが有名です。

手術台の歴史は古く、1840年にドイツのマッケ社によって開発された木製の手術台が初だといわれています。その後頭部手術台や電動モーター手術台が登場し、日本では1959年に当時手動ハンドル制御だった操作を、油圧操作の全油圧駆動式手術台を瑞穂医科工業(ミズホ)が開発し、それ以降、国内の手術台技術は急成長を遂げています。

手術前後の清掃

手術台をシェアする場合、手術前・手術中・手術後の清掃に加え、定期清掃を徹底して行う必要があります。

手術前は、ディスポーザブルのタオルを用意し安全性の高いアルコール消毒とアルカリ電解水による消毒を行います。手術室も濃度を調整した次亜塩酸ナトリウムで清掃します。
手術中もアルコール消毒を手術台とマットに対して行いますが、汚染状況によってはマットの交換を行います。

医療現場での廃棄物管理に関しては特に注意が必要です。基本は感染症処理廃棄物マニュアルに従い処理・運搬・廃棄を行います。手術用リネン類は交換処分しても問題ないコストパフォーマンスに優れた非透過性の不織布を検討しましょう。清掃前に消毒・滅菌を行うと血液のようなタンパク質は固着し正常な消毒が行えなくなりますので、必ず清掃が終了してから行う様にしましょう。

施術後は手術中に清掃できなかった細かい箇所を入念に清掃します。米国労働安全衛生局の規定では「すべての設備・環境表面は清潔であり、感染の恐れがある場所に接触した場合は汚染を除去する必要がある」とされており、普段は両性界面活性剤か第四級アンモニウム塩で消毒し、汚染箇所には水・洗剤・次亜塩素酸ナトリウムを使用した清掃消毒するとよいでしょう。

清掃を完璧に行っても、破損箇所を放置しているとそこから汚染が始まり感染症の原因になります。破損や故障箇所を見つけたら速やかに修理を行いましょう。

まとめ

手術台のシェアを行うには、徹底した感染症対策の実施が必須要件となります。患者に悪影響を与えないような用途に合った清拭布や消毒剤の選択、汚染した廃棄物管理方法の熟知など、現場に入る前の準備も怠らないようにしましょう。日々の清掃・消毒のほか、月単位で細かい場所まで定期清掃を行い、年2回のペースで専門業者に依頼し完璧な清掃を依頼することで、常に清潔な状態を保つことができます。新型コロナウイルス対策のため、医療機関に対する補助金制度の政策もありますので検討してみて下さい。

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