大腸の異常を発見し取り除くファイバースコープの進化
ファイバースコープは体内を検査する上で欠かせない機器です。内視鏡の歴史は古く紀元前から生きている人間の体内を覗く研究が進められていました。金属管を口から通し胃を観察する「硬性胃鏡」に始まり、多くの試行錯誤により進化を遂げてきました。消化器官の検査に使われる内視鏡はもっともポピュラーなツールですが、その中でも大腸の検査に使われるファイバースコープについて考えていきたいと思います。
ファイバースコープの原理
光ファイバーはインターネットを始め多岐にわたる分野に利用されています。曲げに強く透過性の高い素材を使い、屈折率を利用することで全反射しレーザー光を目的の場所へ届ける技術です。
ファイバースコープは光ファイバーを束にして末端にレンズとアイピースを装着した構造となっています。中心に屈折率の高いコア、外周に屈折率の低いグラッド、それらを覆う被膜により構成され、1960年頃から医療分野で活躍するようになりました。
ファイバースコープ内視鏡の進化
ファイバースコープ誕生以前は、内視鏡先端に小型カメラを設置した胃カメラが主流でした。1964年に開発されたファイバースコープで写真の撮れる内視鏡が登場しました。胃カメラの問題点であった目の機能が追加され、直接体内を診察できるようになり、より細身になったため患者の体に対する負担も少なくなりました。
一本のファイバースコープに映像とレーザー光を同時に伝送できる複合型光ファイバーは、外形を非常に細くすることが可能になり、末梢肺がんの検査などに使用されています。
ファイバースコープによる治療
ファイバースコープによる大腸検査は大腸がんの早期発見に大きく貢献しました。また、内視鏡内部に備え付けられたクリップを使い高周波でポリープを焼き切る手術法も確立されました。他にも医療用ファイバースコープは、血管が損傷したときバイパス手術を行う「無遮断血管バイパスツール」、選択的で正確な止血が可能な「神経内視鏡手術ツール」といった診察だけでなく「治療」としての目的にも活躍するようになりました。
ファイバースコープによる大腸検査までの流れ
患者に検査の流れや合併症の説明を行い、検査日を決定します。検査前日に検査食と下剤を飲んでもらいます。
前処置薬モビプレップで腸内を洗浄し、点滴と麻酔後、検査を開始します。検査は10~15分で完了し、検査後はリカバリールームで休息を取っていただき終了となります。
まとめ
内視鏡の歴史とファイバースコープの特徴と検査法ご紹介しました。ファイバースコープによる大腸検査は、直腸がん結腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病といった多くの病気を早期発見し治療できる優秀な機材です。
ファイバースコープ以降も内視鏡技術はビデオスコープ・超音波内視鏡・ハイビジョンシステムと進化を遂げ、検査対象領域も安全性も高くなっていますので、検査する対象によって適切な機器を選択してください。