麻酔器の耐用年数について
機械や建物などの固定資産には、法律によって決められている使用期間があります。これを「耐用年数」と言います。今回は、医療現場で手術の時に使用されている麻酔器の耐用年数について説明していきます。
麻酔器について
麻酔器とは神経に薬物を作用させることにより、手術中の痛みを感じさせない様にするための機械です。
麻酔には様々な方法がありますが、主に患者さんを鎮痛させ意識のない状態にして行う「全身麻酔」と、意識がある状態で鎮痛させる「部分麻酔」の2種類に分けることが出来ます。手術内容や患者さんの状態によって選択され、場合によっては組み合わせて使用することもあります。
麻酔器の歴史について
1846年にアメリカの歯科医であるモートンが、ガラス球で出来た気化器でエーデルという麻酔薬を利用して患者さんに吸入させ、麻酔に成功しました。日本では1950年に閉鎖循環式麻酔器が初めて発売され、その同じ年に気管挿入麻酔が開始されました。
脊髄くも膜下麻酔について
次に、麻酔の種類を2つ紹介します。
1つ目は「脊髄くも膜下麻酔」です。脊髄くも膜下麻酔とは下半身・腰椎麻酔とも呼ばれ、脊髄を傷つけない様にするために腰の下に専用の針を刺して、局所麻酔薬を入れて行います。麻酔により鎮痛されますが、意識はある状態で手術が行われます。これは、部分麻酔の1種です。
全身麻酔について
2つ目は「全身麻酔」についてです。全身麻酔とは、点滴とマスク吸入を用いて麻酔薬を入れて、意識がない状態で鎮痛させ手術を行う方法です。全身麻酔中は呼吸が弱くなるため、麻酔科医が気管チューブを患者さんの口に入れ薬を調整していきます。意識がない状態で手術を行うので、麻酔から目覚めても手術中の記憶は全くありません。
耐用年数について
耐用年数とは上記で述べたように、機械や建築物などの価値や使用期間を法的に設定したものです。決算書に記載する減価償却費を求める際に必要となるもので、それぞれの固定資産によって耐用年数は異なっています。医療機器の耐用年数は、大きく分けると3つに分類出来ます。
税法上の耐用年数について
税法上の耐用年数とは、税務署が設定した耐用年数のことで、実際の医療機器の状態や使用年数とは異なることがあります。麻酔器には「償却資産税」がかかるので、税法上の耐用年数を元に減価償却を行い、決算書に記入します。
薬事法上の耐用年数について
薬事法上の耐用年数とは、医療機器を製造している販売業者によって設定されている耐用年数のことです。これは医療機器の点検期間などをあらかじめ決めたもので、安全性を確認することにも繋がります。
麻酔器の構成について
麻酔器は次の3つで構成されています。
まずは、保守性と供給が安定していることから寿命は比較的長いとされている「麻酔ガス供給装置」です。次に、ゴム製のパッキンなどの定期的に交換する必要がある部品が多く使われていて、麻酔器の寿命の決め手となっている「麻酔呼吸回路」です。そして、費用が高額であるセンサー、分析ソフト、表示ソフト、ディスプレイで構成されている「モニタリング機器」です。
まとめ
麻酔器の耐用年数を3種類紹介しましたが、1番安全で適しているのは、医療機器を製造している業者が設定している薬事法上の耐用年数ではないでしょうか。耐用年数と実際の麻酔器の寿命は異なりますので、注意が必要です。