人工呼吸器の特徴と正常値について

治療用機器

私達は生命を維持する為に必要不可欠な酸素を取り入れ、二酸化炭素をはきだします。しかし、何らかの障害により血液中の酸素の量が60mmHg以下になった場合、使用するのが「人工呼吸器」です。呼吸の補助を行い、あるいは呼吸そのものが停止している方に対し完全に代行するために使用します。今回は人工呼吸器とその正常値についてみていきましょう。

人工呼吸器の特徴

人工呼吸器は空気の出し入れをしている機械であって呼吸はしていません。呼吸のサポートをしているのです。人工呼吸器は大きく分けて、「胸郭外陰圧式」と「気道内陽圧式」の2つがあります。自発呼吸は「陰圧換気」です。現在、主流なのは「気道内陽圧式」になります。

これは文字通り人工呼吸器から患者さんの口元に陽圧のガスを送り込み、この圧力により肺を膨らませる方法です。しかし胸郭が広がっていないのに、口からガスを押し込むことになるので横隔膜の筋力低下や肺損傷の危険があります。

その為、人工呼吸器を使用する時間は、必要最小限に止める必要があるのです。

人工呼吸器の目的

人工呼吸器をする目的は大きく分けると4つあります。気道確保・酸素化・換気・呼吸筋の保護です。酸素化が悪いから人工呼吸器を付けるというのは、一般的な基準と比べてイメージしやすいと思いますが、行うことは酸素化のサポートだけではありません。

例えば、肺にまったく問題がない人でも手術をする上で、麻酔をかけなければいけない時があります。その際に気道確保を目的として、人工呼吸器を使用することもあります。

二酸化炭素が体の中に溜まってしまうと血液が酸性に傾いてしまいます。簡易的にいうと呼吸性アシドーシスになるのでそうならないように、あるいは治療を目的として換気、息を吐かせる目的で使用することもあります。

他には、患者さんの状態が悪く呼吸回数が多いと呼吸疲労を起こすので、人工呼吸器で呼吸回数を減らし呼吸筋の保護を目的とする場合もあります。

成人の正常値について知ろう

ここでは人工呼吸器の成人正常値と用語の意味についてお伝えします。呼吸回数は1分間に12~20回です。そして1回の呼吸で出入りするガスの量を「換気量」といい、1回換気量は400ml~500mlになります。

phとは、血液を含むあらゆる溶液の酸性度やアルカリ性度を表しています。通常、血液の
正常値は7.4phあたりを維持しています。

PaO2とは「動脈血酸素分圧」のことで、動脈血中の二酸化炭素の分圧を表しています。PaO2の低下は、呼吸器系の異常つまり呼吸不全を示しています。正常値は90~100Torr (mmHg)です。

まとめ

今回は医療の現場で活躍する治療用機器「人工呼吸器」についてお伝えしました。さまざまな病態によるあらゆる呼吸不全に対応するためにも必要な機器です。装着している場合には胸腔内が常に陽圧となるため、その扱いは慎重に行いましょう。

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